ふりむかないで
日本の男性コーラスグループ、ハニーナイツ。
1974年に解散してしまいましたが、その後も曲は歌い継がれています。
今回解説する「ふりむかないで」は1970年に発表された歌謡曲。
レコードとして発売されました。
ライオンの商品「エメロン」のCMソングとして起用されていました。
2002年のリバイバル版では郷ひろみさんが歌っているなど、カバーも多くされているこの曲。
日本全国の土地で出会う女性たちの描写がとても印象的です。
それでは、この曲の歌詞について解説していきたいと思います。
都市ごとの女性
背中を押す東京
泣いているのか笑っているのか
うしろ姿のすてきなあなた
ついてゆきたいあなたのあとを
ふりむかないで東京の人
出典: ふりむかないで/作詞:池田友彦 作曲:小林亜星
まず最初に出てくるシチュエーションは東京。
歌詞の最後に「東京の人」と出てきます。
一見、もうすでに東京に住んでいる人のことを表していると思うのではないでしょうか。
もちろん、そのように考えることもできます。
しかしこの東京のシチュエーションに関しては「上京する人」とも考えることができると考えました。
歌詞の1行目から見てみると、感情が前向きなのか後ろ向きなのかがよくわかりません。
そしてそんなあなたについていきたくても、できないという印象を受けます。
少しネガティブです。
しかしその相手の背中を見て「すてき」と述べています。
ポジティブなイメージのある言葉です。
もしこの相手が上京するとなれば、おそらく何か夢を叶えるために上京するのでしょう。
その夢を追いかけるあなたは「すてき」なのです。
一緒に東京に行きたくても行けない、しかしその夢は応援したい。
そんな相反する感情がぶつかっている表現をこの歌詞から感じました。
そして最後の「東京の人」という言葉。
「これからあなたは東京の人になる」という意味が込められているのではないでしょうか。
追いかけたい札幌
ポプラ並木にちらつく雪が
あなたの足をいそがせるのか
しばれる道が気にかかるのか
待って欲しいな札幌の人
出典: ふりむかないで/作詞:池田友彦 作曲:小林亜星
場所は変わって札幌。
歌詞の最初に出てくる「並木」。
これは北海道大学の札幌キャンパスにある「北大ポプラ並木」のことでしょう。
観光スポットにもなっている有名な場所です。
そこに降ってくる雪。
北海道の風景を感じさせます。
雪が降ってきたら、早く家に帰りたいと思うのではないでしょうか。
ちらつく程度の雪であればそこまで気にはしません。
しかし北海道となればその後はおそらく雪が積もるでしょう。
その後のことを考えると急ぐ気持ちも理解できるのではないでしょうか。
歌詞の3行目にある「しばれる」という言葉。
これは北海道の方言で「凍る」という意味があります。
道が凍り始め、歩きにくくなることを心配しているのでしょう。
とにかく急いで歩いているうしろ姿を「待って欲しい」と思っているのです。
女性との出会い
一目惚れの仙台
たなばた祭りの一番町で
ふとゆきあって目と目があった
ゆかた姿のすてきなあなた
ささやきたいな仙台の人
出典: ふりむかないで/作詞:池田友彦 作曲:小林亜星
次は仙台。
ここでは、新たな出会いが描かれています。
「日本一の七夕」とも言われる、仙台七夕まつりで出会ったようです。
ぱっと目があって、浴衣姿の女性に一目惚れしてしまったのです。
目があっていることからも、こちらはうしろ姿に惹かれたというわけではありません。
そして歌詞の4行目。
ここで「ささやきたい」と述べています。
お祭りは人も多く、声が聞き取りづらいもの。
顔を近づけて声をかけたいという気持ちが込められているのかも知れません。
また七夕といえば「笹」。
この仙台の七夕まつりでも、豪華な笹飾りは有名です。
「ささやく」の「ささ」という言葉にかかっているのではないかと考えました。
癒したい名古屋
雨の今池小さなスナック
一人ぼんやりしているあなた
ほろり涙がまつげにたまる
抱きしめたいな名古屋の人
出典: ふりむかないで/作詞:池田友彦 作曲:小林亜星