思い出は甘く残っているのに
恋をしていた2人の会話は甘ければ甘いほど忘れられないものです。
あの日君が言ってくれたこと、それを信じていたのに…。
長く育むはずだった
いつか話したね 二人で暮らそうって 可愛い子猫が欲しいって
君は微笑んで 不意に繋いだ手 握り返してくれたね
出典: ラズベリータルト/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,NOKI-T,大和正紘
歌詞は過去形のお話から始まります。
あの時2人の間で交わした会話は未来を保証するような内容だったようです。
胸キュンを通り越して鼓動が相手にも伝わるドッキドキな歌詞を見てみましょう。
恋をしてお互いの思いが通じれば2人が夢見るのは一緒に「暮らす」こと。
そして生活するのは2人だけではなく、ペットを飼うことも提案してくれたのです。
言われた私の頭の中には、子供の猫の世話をする2人の姿が浮かんだのでしょう。
2人の暮らしが長く続かなければ小さな猫を育てることはできません。
愛も猫も一緒に育む長い時間。それを2人で過ごそうと君は言ってくれたのです。
予期しないプロポーズもどきの会話に思わず相手の手を掴んだのでしょうか。
答を返すようにその手を握りしめてくれた君。
でも2人だけの甘い時間は過去になってしまったようです。
時間は途切れないはずだった
そばで過ごせるだけでいい 今がずっと続けばいい 密かに期待してたの
急に真剣な顔で 見つめるから怖くなって それ以上は言わないで
出典: ラズベリータルト/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,NOKI-T,大和正紘
愛が続く予感の中で願うのは今のときめきが消えないこと。
将来の話をしてくれたからそのまま2人の時間は続くと思っていたのでしょう。
きっと大丈夫、おそらくこのままでいられるはずと何度も思い返します。
でも突然の真顔で事態は一転したようです。2人で向かうはずの未来はここで途絶えてしまいました。
歌詞にはこの恋が終わる理由は綴られていません。
けれど君が口にしようとした別れをさえぎる様子が悲しみの大きさを表しているのでしょう。
別れの理由が理不尽なものだったことも想像できますね。
もう終わったことは分かったから言い訳を告げられても何も変わらない。
悲しみと怒りが入り混じった心が次の歌詞につながります。
繰り返しにあるものは
嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 大嫌い
出典: ラズベリータルト/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,NOKI-T,大和正紘
突然の別れには本音でぶつかるしかないのでしょうか。
何かを深く考えるより今ある思いを口に出します。
5回の繰り返しと恋した相手への最大級の憎悪の言葉は止める必要も無いのです。
もう好きじゃない、好きなんて言葉も忘れてしまいたい。
弱いメンタルでは終わった恋を受け入れることもできないのでしょう。
感情をぶつけて現状に立ち向かうための歌詞が続きます。
手にしたかったものは
もうね さよならだ 運命じゃなかったよ
気の利いたセリフ 用意してよ 涙が無駄になる お願いよ
でもね 本当は 永遠信じてた
長い間 待ち続けたのよ
幸せになりたい それだけなのに…
出典: ラズベリータルト/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,NOKI-T,大和正紘
別れのための歌詞は強気な言い回しと語尾で綴られているようです。
お決まりの別れの言葉は丁寧さより勢いを優先した「さよなら」。
「う」が入らないだけでこの別れを突き放したようにも感じられます。
赤い糸で結ばれた2人を予感していたのでしょうか。それが間違いであることも分かりました。
「じゃない」とあきらめて語尾の「よ」で自分に言い聞かせているのでしょう。
次の恋へのステップになるような言葉を求めてしまうのは君が切り出した別れだから。
無駄に泣きたくないのは失恋なんかに負けたくないメンタルを表しているのでしょう。
でもその後に出てくる本音は今回の恋への期待度の高さです。
歌詞の最初に出てきた2人の甘い未来のための会話を思い出してみましょう。
小さな猫も一緒に終わりの無い時間を2人で過ごすことを想像したのも無理はありません。
私が待っていたのは普通の「幸せ」、結ばれることで終わる恋がしたかっただけなのです。
待ち時間が長いのはこの失恋が初めてではないことを表しているのでしょうか。
また終わってしまったこの恋。やはり立ち直るためには涙が必要のようです。