amazarashiの「空っぽの空に潰される」とは?

【空っぽの空に潰される/amazarashi】ダンサーが凄いと話題のPVを紹介♪歌詞の意味を解釈!の画像

「空っぽの空に潰される」は、2011年11月16日に発売されたamazarashiのファーストアルバム、『千年幸福論』に収録されている楽曲です。

作詞作曲を手掛けうボーカルの秋田ひろむさんがamazarashiらしいアルバムになったと語るこのアルバムの中で、「空っぽの空に潰される」の歌詞にはこのアルバムのテーマに関わる大切な言葉が隠されていました。

その言葉とは...?歌詞の解釈で詳しく触れるとして、まずは印象的なMVの意味を考えていきましょう。

顔のないダンサーの踊りに釘付け!?「空っぽの空に潰される」のMV!

モニターで歌詞を強調して表示する演出も印象的ですが、やはり気になるのは顔をフードと髪で隠したダンサーたちが踊る、ダンスの意味ですよね。

歌詞の前に、まずはダンスの意味を解説します。

最初は一人で踊っていた女性が、似た格好をした男性と出会い、そのうちに絡み合って踊る姿は、命を奪い合うように愛し合う姿が表現されていようにも見えます。

そして、寄り添っていた二人ですが、やがて男性ダンサーがゆっくりと去っていき、悲嘆にくれるような動きをする女性

「名残惜しさも無くさよなら 愛した人や物はあっけない」という歌詞もありますが、ここは別離を表現しているのでしょう。

アルバムのテーマと同様に、このMVは愛する人や、一生を捧げたいと思う物と出会えても、人間いつかは別離の時がくるという中で、幸福とは何かというテーマに基づいているのでしょう。

『千年幸福論』のジャケットにも、このMVと似た格好をした人が描かれていますね。

MVの内容、そしてジャケットからも、「空っぽの空に潰される」という曲が、『千年幸福論』というアルバムのテーマに深く関わっている楽曲であることがわかります。

だとすると、「空っぽの空に潰される」の歌詞を解釈することで、収録アルバムへの理解も深められそうですね。

amazarashi「空っぽの空に潰される」の歌詞解釈!

ここからは「空っぽの空に潰される」の歌詞の意味を徹底解釈します。

また、解釈する中で、この曲のタイトルの意味についても考えていきますので、ぜひ、皆さんも一緒に考えてみてください。

受け取った手紙よりももっと大切にすべきものを捨ててしまっているのでは?

受け取った手紙が増えすぎて
自分の荷物は捨てていった
満たされた気持ちになって
その実また空っぽだ
お金は多い方がいい
友達は多い方がいい
安心も多い方がいい
結局幸福とはなんだ?

出典: https://twitter.com/mia34nc/status/576800021997178880

今の時代「手紙」よりもメールの方が身近かもしれないので、スマートフォンを想像してみてください。

「受け取った」メールを溜め込んでいくと、ストレージがいっぱいになって、でも人からもらったメールは消したくなくて自分がその時いいと思って撮った写真や書き残したメモを捨てていったということはないですか?

このことが何を表現しているかというと、人から「受け取った」想いや考えで「満たされた気持ちになって」自分がもともと持っていた想いや考えなどは正しくないものとして「捨てていった」ということです。

しかし、身近な人や社会からの受け売りで、自分の中をいっぱいにしたところで自我は確立されておらず、「その実また空っぽだ」と言っているのですね。

「お金は多い方がいい 友達は多い方がいい 安心も多い方がいい」という歌詞は、世の多くの人が当たり前に「いい」と思っていることですが、実際にそれに従って行動したところで、自分自身の「幸福」に繋がるとは限らない。

だからこそ、ここで問題提起しているのです。

「結局幸福とはなんだ?」

この問いを心に留めて、続きの歌詞も見ていきましょう。

過去の自分は常に仮想敵

必ず死ぬと書いて必死 夢の中と書いて夢中
まさに必死で夢中になって 僕らは季節を駆け抜けた
怪我ばっかりが増えたけれど 痛えと笑える仲間が居た
昔の自分に嫉妬するな そいつが君の仮想敵だ

出典: https://twitter.com/amazarashi_0/status/883963985023741954

「必ず死ぬ」ような困難の中でもまるで「夢の中」にいるかのように自分の身を顧みず「僕らは季節を駆け抜けた」。

その結果、「怪我ばっかりが増えたけれど 痛えと笑える仲間が居た」というこの部分の歌詞は、怖いもの知らずで、失敗してもその痛みを共有できる「仲間」がいたから何にでもがむしゃらに挑戦できた「昔の自分」を思い出す歌詞です。

学生の方にはまだわからないかもしれませんが、大人になると、なかなかそうはいかないことが多いので、頻繁に学生時代のことを思い出しては眩しく感じたり、時にその頃の自分に「嫉妬」したりするものです。

しかし、過去の栄光や青春にとらわれるのではなく、今の自分が羨ましいと思う時代の自分を「仮想敵」として、その時代を超える努力をしろと言っているのですね。

つまり、前の歌詞の「幸福とはなんだ?」という問いに対して、過去に求めても「幸福」はないと結論づけているのですね。

この曲の中では様々な幸福について考えを巡らせていきます。

少し長くなりますが、共感できる言葉がたくさんあるはずなので、お付き合いください。

楽しい時に笑う、悲しい時に泣く、じゃあ、虚しい時は?

楽しけりゃ笑えばいいんだろ
悲しい時は泣いたらいいんだろ
虚しい時はどうすりゃいいの?
教えて 教えて
名残惜しさも無くさよなら
巡り巡る季節は素っ気無い
それに何を期待すりゃいいの?
教えて 教えて
空っぽの空に潰される

出典: https://twitter.com/Fuyu_yamiaka27/status/926106322579238912

楽しい時は「笑えばいい」、「悲しい時は泣いたらいい」としたら「虚しい時はどうすりゃいいの?」という歌詞。

前の歌詞に「必ず死ぬと書いて必死 夢の中と書いて夢中」という歌詞がありましたが、このような形で、この曲のタイトルと「虚しい時は」の歌詞を足すと、「空っぽ」の虚しさと書いて空虚という言葉ができますね。

人からの受け売りばかりで「その実まだ空っぽだ」という歌詞もありましたが、つまり、刻々と変わっていく「季節」の中で、そのスピードについていけない自分は、いつまでたっても「空っぽ」である。

そのことに虚しさを覚えても、「虚しい時はどうすりゃいいの」かわからないためその「空っぽ」にこのままでは自分の心は「潰される」と言っているのですね。

逆にいうと、「空っぽの空」に虚しさを感じさせられても、虚しい時にどうすればいいのかわかれば、空虚ではなくなる。

そうしたら幸福になれるのだろうか?

どんどんテーマが掘り下げられていきますね、ここから先の展開にも注目です。