RADWINPSの野田洋次郎とコラボした一曲。
米津の情感溢れる歌声、野田の透明感のある歌声が魅力的です。
「PLACEBO」は有効成分を含まない「偽薬」と呼ばれる薬のこと。
そんな偽薬になぞらえて歌われる恋の想い。
ここでも正しい答えが出ないまま想いに翻弄される姿が描かれています。
けれど「プラセボ効果」という言葉がある通り、偽の薬でも効果を及ぼすことがある。
正解ではなくても良いと肯定する想いが込められています。
パプリカ
馬と鹿
優しい人
繊細な感情を描き出す一曲
誰もが痛みを抱く中で
「優しい人」は、いわば「優しくない人間」の視点で描かれています。
いじめられている子がいても助けようとしない。
それが自分ではなくてよかったとすら思ってしまう。
そんな自分のあり方が正しくない、優しくないということもわかっている。
そういった心境に共感できる人は、実は多いのではないでしょうか。
アルバムを通して描かれているテーマのひとつに「迷い」があります。
迷って自分で正しい答えが出せる人ばかりではない。
迷い、正しくない判断をしてしまう弱さ。
そんな感情にも寄り添う一曲です。
Lemon
アルバムの始まりとなった一曲
楽曲は300万ダウンロードを突破。
米津のみならず平成・令和を代表するヒットソングとなりました。
アルバムとしてはこの「Lemon」がシングル曲としては最も早くリリースされた曲。
メガヒットとなった背景もあり、米津はアルバムの軸としてこの一曲を想定しています。
アルバムを貫くテーマ「喪失」
「Lemon」で歌われた死別や喪失への悲しみと痛み。
それはドラマのテーマでもあり、米津自身の実体験も織り込んだものでした。
それゆえに多くの人の共感を集め、これほどまでのメガヒットに成長したといえるでしょう。
そしてアルバムがリリースされた2020年。
奇しくもリリースされた2020年は多くの人が今までの日常を失い苦しんだ一年でした。
その中でアルバム制作を進めた米津が込めた思い。
それは喪失に対して寄り添い共に悲しむ、というあり方だったのではないでしょうか。
「カナリヤ」や「カムパネルラ」にも共通するテーマ。
それは「大切なものの喪失」。
同時にそれは「いつか失ってしまうものだからこそ今を愛する」という思いなのです。