米津玄師のアルバム「STRAY SHEEP」。Lemonをはじめとするメガヒットを収録し、満を持して発売された一枚です。コロナ禍の2020年、迷い悩む社会の中で音楽は何ができるのか。米津自身の導き出した答えが詰め込まれた、美しいマスターピースとなりました。必聴の名盤を全曲解説します。
海の幽霊
映画「海獣の子供」主題歌。
一転して穏やかで静かなバラードです。
ゆっくりと壮大に広がるメロディは広い海を思わせるよう。
そしてここにもまた「失われてしまったもの」への愛情が描かれています。
今はここにいない人のために置かれた椅子。
それはまさに喪失を形にしたような美しい情景です。
カナリヤ
コロナ禍の中描かれた愛の形
変わりゆく世界の中でひたむきに愛する人を思う一曲。
この美しいナンバーは後に
是枝裕和監督によって
MVも制作されています。
アーティストとしてコロナ禍の中何ができるのか。
その迷いの中見つけたひとつの答えでもありました。
変わりゆくものを愛しんで生きる
コロナ禍の中、2020年には多くの人々が暮らし方を変えざるをえない状況となりました。
会いたい人にも会えず、働き方や日々の過ごし方も変わっていく。
そんな毎日に多くの人が迷い、失われた過去の日常を思う。
それが2020年の日常でした。
そんな中、音楽は何ができるのか。
その答えのひとつが、変化を受け入れること。
そして、変化していく人の心に寄り添うことでした。
全てが変わってしまうとしても、あなたのことが大切だからそれでいい。
込められたそんなメッセージに胸があたたかくなります。
迷える羊が見つけた答えと音楽の使命
2020年は多くの人にとって苦難の年でした。
それはアーティストにとっても大きい出来事。
感染予防のため多くの
ライブが中止や延期を余儀なくされました。
そんな中、時代の寵児となってしまった米津。
自分の音楽が多くの人の耳に届く中、音楽は何ができるのか。
多くのアーティストがぶつかった問いに、米津が出した答え。
それは迷いや苦しみを励ますのでも否定するのではなく、ただ理解し寄り添うこと。
そして変わっていく不安を受け入れ、癒すことでした。
具体的に病気を癒やしたり、経済状況を支えたりすることは音楽にはできません。
けれど多くの人が不安なとき。
失ってしまったものを思って悲しむとき。
それにそっと寄り添うことが音楽の使命だ。
そんな使命感が「STRAY SHEEP」の原動力となっているのです。
収録曲をさらに深く知る
アルバム曲の中でもタイトルチューンともいえる「
迷える羊」。
こちらを徹底解釈した記事がこちらです。
米津玄師【迷える羊】歌詞の意味を解釈!物語を待つのは誰?僕らの演劇が続く理由と羊が示すものに迫る - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
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また、大ヒットとなった
シングル曲「
Lemon」「
馬と鹿」。
こちらも改めて解釈を読み直してみてはいかがでしょうか。
新たな発見があること間違いなしです。
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