別れを選んだのは「愛」があってこそ
「嘘」であり「愛」でもあった
もう二度と会えないような顔した君を
両手で抱き寄せたあの日
何も言わずに黙って見送ったそれを
「愛」と言えば楽になるでしょうか
出典: たとえ世界がそっぽ向いても/作詞:大石昌良 作曲:大石昌良
あの日の光景がさらに描かれていきます。
かつて別れた相手の顔です。
あんなにも悲しい顔をしていたっけ、と脳裏によみがえってきます。
きっとお互いに別れたくなかった…。
けれども別れる必要があったのです。
別れた相手には、この街を離れて遠い場所で何かやりたいことがあったのでしょうか。
主人公は自らの心を鬼にして相手に別れを告げました。
この街に二人で一緒にいたのでは得られない何かがある、そう考えての結論でした。
これまで「嘘」と表現していたあのときの行動。
しかしここでは「愛」と言い換えられています。
相手の未来を想っての嘘だった、ということでしょうか。
主人公には別れないという選択肢もあったのかもしれません。
遠い街に目的を見つけた相手を、無理に引き留める力があったのかもしれないのです。
しかしそうはしなかった…。
自分にとってではなく、相手にとって一番良いことは何なのか?
そのことを主人公はずっと考えていたのでしょう。
それは「愛」と呼べるものなのではないでしょうか。
恋人として果たすべき役割
さよなら 涙の跡も
この街で過ごした幸せの証だと笑おう
出典: たとえ世界がそっぽ向いても/作詞:大石昌良 作曲:大石昌良
あの日の別れのシーンが鮮明に浮かんでくるようです。
お互いの顔は涙に濡れていたのでしょう。
数年程度の別れではないように思います。
そして会いたいと思ってもすぐにはそれが実現しないような距離感。
たとえば仕事のような重要な使命を得て海外へ行くような場合です。
電話ができないような環境である可能性も考えられます。
しかし相手にとっては重要な役割であり、それを見送ってあげるのは恋人の役割なのかもしれません。
これだという、明確な答えはないでしょう。
二人が出した結論こそ二人にとっての正解です。
相手はもしかしたら引き留められたかったかもしれません。
けれども向こうで果たさなければならない使命のことを思うとどうしても行きたかった…。
そういった葛藤はもちろん主人公はすべて分かっていて、だからこそ黙って見送ったのでしょう。
無駄なことは一切口にせず、ただ再会だけを約束して…。
僕はいつまでもこの街で君を待ち続ける
たとえ夢破れても
人の心は夢追い人
今は道の途中で 過ちや躓きをときに知るけれど
いつも僕はここで待ってる どんな君でも待ってる
たとえ世界に何が起きても
出典: たとえ世界がそっぽ向いても/作詞:大石昌良 作曲:大石昌良
街と共にある主人公。
たとえ向かった先で困難に遭い、夢破れて帰ってきたとしても構わないのだとしています。
どのような結果になって帰ってきたとしても、それでも無事に帰ったのなら構わない、と。
今は世界と戦っているかつて別れた「君」。
「僕」はいつでもこの街でその帰りを待っていて、すべてを受け止める準備ができているということです。
タイトルの意味は?
そして1番のサビが繰り返されています。
この歌詞においての「世界」とは、別れた「君」が戦う相手ということでした。
「僕」以外の外の世界です。
その挑戦が失敗して世界に見放されてしまっても、僕がいるよという意味だったのですね。
それがこの曲のタイトルの意味となっています。
かつて二人で暮らしていたこの街。
あるとき「君」が何かの理由で街を離れることになり、「僕」はそれを見送りました。
それは「君」への愛情ゆえ。
その決断は自分の本当の気持ちに嘘をつくようなものでした。
しかしこの街から大きく羽ばたいてほしいと願ったのも本当の気持ちだったはず。
すべてが嘘ではなかったでしょう。
そして「僕」は一人この街に残りました。
「君」の帰ってくる場所でいるために待ち続けているのです。
その待ち方も、決してプレッシャーとなるようなものではありません。
どんな結果になろうとも、たとえばその傷を癒せるような場所に自分がなるんだという意思が感じ取れます。
たとえ世界がそっぽ向いても、自分だけは君の味方なのだと。
いまだ再会のめどは立っていない様子。
いつかこの街で君に会えると信じて、これからも主人公は一人、こうして幾夜も越えていくのでしょう。
最後に
さて、いかがだったでしょうか?
今回は鈴木雅之の【たとえ世界がそっぽ向いても】の歌詞解釈についてお伝えしてきました。
別れはつらいものですが人生にはつきもの。
人はいつかまた会えると信じて前へ進んでいくしかないのでしょう。
そして恋人として別れを告げる場合もあるということもあるのかもしれません。
それは相手のことを本当に応援したいと考えているからこそです。
自分が相手と一緒にいたいという気持ちも大事。
けれどもその気持ちより優先したい想いが生まれてくることもあるのかもしれません。
さらに主人公は別れた相手の帰ってこれる場所になることに徹しているようでした。
こうした自己犠牲ができるのは愛情があってこそなのではないでしょうか。
つらい別れの曲でしたが、原因は失恋によるものではなく前向きなものでした。
これを機に、人生の出会いと別れについて考えてみるのはいかがでしょうか?
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いくつか関連記事のご紹介をしてこの記事を閉じたいと思います。
最後までお読みいただいてありがとうございました。