8thアルバム収録のバラード
【VANITAS】は2011年に発表されたアルバム「DUM SPIRO SPERO」に収録されています。
激しい曲が多く収録されたアルバムの中で、終盤に位置するバラード曲です。
このアルバムはDIR EN GREYにとって、8枚目のアルバムとなります。
バージョン違いはなし
「DUM SPIRO SPERO」には完全生産限定盤と通常盤があります。
【VANITAS】はどちらも同じ音源が収録されていて、バージョン違いはありません。
しかし、完全生産限定盤にはLP盤もあるので、デジタルとアナログの聴き比べをすることができます。
同じく完全生産限定盤の特典DVDには、「VANITAS (In-Studio Footage)」も収録されました。
こちらでは、曲をバックにスタジオでのレコーディングの模様を垣間見ることができます。
震災後にレコーディングされた曲
「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」の制作過程の時からアルバム製作が始まっていたが、3月11日に起きた東日本大震災によりレコーディングが一時期中断された。
雑誌「AMON」で、震災後に制作された曲の中に地震の影響が多少入っている曲の存在が明らかになっている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/DUM_SPIRO_SPERO
「DUM SPIRO SPERO」のレコーディング中に、東日本大震災が発生しました。
そのため収録されている楽曲の中には、震災後にレコーディングされた曲もあります。
【VANITAS】も震災後にレコーディングされた曲です。
生と死を歌った曲だけに、制作過程で何か影響を受けた部分があったのかもしれません。
生きることの苦しさ
教会の鐘を思わせる、美しいギターのイントロから曲が始まります。
静かな歌い出しです。
やり場のない感情
今を生きる為の傷さえ
薄い春の色を手にして
出典: VANITAS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
冒頭の歌詞から、苦しい感情が伝わってきます。
春をイメージする色というのは、桜の花の薄紅色のことではないでしょうか。
京の歌詞には、春の象徴として桜の花がよく登場しています。
手に残る薄紅色の傷跡は、自分で付けたものなのでしょう。
やり場のない辛さを、自らの体にぶつけてしまいます。
そうでもしないと、生きていられないような気持ちになる日もあるのです。
人生に苦しみながらも、何とか日々を生きています。
生きるための葛藤
逃げ出したい夜に眺めて
声を震わせながら立ち止まる
出典: VANITAS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
頑張って生きていても、生きることを諦めたくなる夜があります。
そんな夜は辛い気持ちを抱えながら、手首の傷跡を見て踏みとどまるのです。
この傷は、人生を投げ出すために付けたものではありません。
生きようと葛藤しているからこそ、できた傷なのです。
抱えきれない思いに涙を流しながら、夜をやり過ごします。