見せた切符は片道で
痩せたほっぺでおめでとう
嗚呼 名誉も嫌よも二の次で行って参ります

出典: 君ガ空コソカナシケレ/作詞:Gom・shito 作曲:Gom

恐らく彼女に見せたと思われる「片道切符」召集令状なのではないでしょうか。

要するに、国から「兵隊として戦争に行きなさい」という命令が彼に下ったということです。

当時、戦時下ではお国のために戦争に行くのは名誉なこととされていました。

だから「おめでとう」と相手の子は言ったのでしょう。

しかし、戦争に行くということは死にに行くと言っても大差ありません。

彼は「生きて帰ってこられない」と分かっていたから「片道」なのでしょう。

いくら名誉なことでも、家族や愛する人と別れて戦いに行くなんて嫌な筈。

それでも命令に背くことはできません。

特段欲しいわけでもない名誉も、「行きたくない」という本音も後回し。

彼は戦場へと赴いていきます。

空を飛ぶ戦闘機

君ヲ想フ 蒼空デ
銀色ノ矢ト紛フ
君ガ空コソカナシケレ
雲泳グ 最初ノ恋

出典: 君ガ空コソカナシケレ/作詞:Gom・shito 作曲:Gom

「君ガ空コソカナシケレ」のサビは、タイトルと同じく古い使われ方の漢字とカタカナで表記されています。

冒頭のナレーションとこのサビで、彼は空から敵を攻撃する戦闘機に乗っていたことが示唆されています。

戦闘機で飛んでいる間も、愛しいあの子のことを思い出させてしまう「蒼空」。

「銀色ノ矢」と見間違えてしまうようなものは敵がこちらに向けて撃ち出す弾丸のことでしょう。

サビにもタイトルである「君ガ空コソカナシケレ」が使われていますね。

「カナシ」は「悲し」と読めますが、実は「愛し」とも読むことも出来るのです。

ここは蒼い空を飛んでいて愛する人のことを思い出すシーン。

「君の空が悲しい」というよりは、「君の空が愛しい」と読む方が自然に思えます。

「空を泳ぐ雲」は自然にある雲より、戦闘機が出す飛行機雲の方が「泳いでいる」感じがしますね。

未来に宛てたラブレター

愛する君へ

拝啓、愛しき人
手紙で許してね
何年先でも帰れないよ
泣いていないか心配です

出典: 君ガ空コソカナシケレ/作詞:Gom・shito 作曲:Gom

二番目の冒頭も「拝啓」から始まります。

彼が愛していた子へ向けた内容になっているのが分かるでしょう。

もう二度と会うことはできないから、手紙になってしまう。

自分は死んでしまうだろうから、何年かかっても君の元へ戻ることはできない。

でも自分が帰ってこないと分かって、君が泣いていないか心配だなあ。

PVでは「愛しき人」にあたる女の子が転んで泣いている幼い日のシーンが流れています。

二人は幼馴染のような関係で、愛する人は泣き虫だったのでしょう。

向日葵のような笑顔で恋に落ちる

徒然見た向日葵の並んで咲いた笑顔に
嗚呼 お家も身分も二の次で
初恋に落ちる

出典: 君ガ空コソカナシケレ/作詞:Gom・shito 作曲:Gom

彼がその子のことを好きだと自覚するシーンです。

相手の子は周りに生える向日葵と一緒に彼に微笑んだのでしょう。

その笑顔はまさしく向日葵のようで、彼は恋に落ちます。

更に「お家や身分」を書いているのが印象的です。

友達は良くても、男女の関係としては不相応な身分や家柄だったのかもしれません。

紅い戦場

君ヲ想フ 夕暮レデ
銀色ノ矢ト詠フ
君ガ海コソカナシケレ
水面染メル 恋紅

出典: 君ガ空コソカナシケレ/作詞:Gom・shito 作曲:Gom

二番のサビで、彼が戦闘機で空を舞う戦場は既に夕方です。

「君」のことを思い出す戦場はもう夕暮れ。

ここの「銀色ノ矢」は一番のサビにも登場しましたが、PVでは彼らが乗る戦闘機が映っています。

詠うのは敵の砲丸ではなく、戦闘機と解釈できそうです。

ここでは「君ガコソカナシケレ」になっています。

「君の(ことを思い出す)海が悲しい」ということなのではないでしょうか。

海は初めて出てきた言葉になりますが、彼が戦った場所は太平洋などの海の上と解釈できそうです。

「君」のことは青空の下で生える向日葵と共に思い出される筈。

空からぱっと見下ろした海に空が反射して映っていたのかもしれません。

最後の海を染めていく「恋紅」ですが、これも色々な意味が込められているように感じられます。

時間は夕方で、空は茜色に染まっているでしょう。

そして戦闘で上がる人の血など、「赤=紅」が彼のいた戦地の海を染め上げていたのではないでしょうか。

「紅」と恋愛」のイメージとしての「赤(頬の紅潮やハートの色など)」が重なっているようにも思えます。

未来に届く手紙