不思議な世界観が癖になる

PELICAN FANCLUB【Telepath Telepath】MV解説!雪やビーチの意味とは?の画像

PELICAN FANCLUBの『Telepath Telepath』について紹介します。

この曲は、彼らの記念すべきメジャーデビューミニアルバム『Boys just want to be culture』に収録。

アルバムのオープニングトラックになっています。

不思議な世界観が癖になる『Telepath Telepath』。

その世界観に合わせて作られたMVも良い意味で変わっています。

捉えどころのない世界に飲み込まれた途端、なんだか夢を見ているような奇妙な感覚に……。

しかし、その感覚が決して不快じゃない。

聴けば聴くほど、そして観れば観るほど謎が増えていく。

そんな『Telepath Telepath』の魅力に迫ります。

芸術性の高いMV

さっそく気になるMVを観てみましょう。

『Telepath Telepath』のMVは、YouTubeのSony Music(Japan)公式チャンネルから視聴可能です。

また『Telepath Telepath』と同じアルバムに収録されている『ハイネ』のMVも視聴することができます。

同時にリリースされる2つの曲のMV。

これらを見比べてみると、PELICAN FANCLUBがいかに表現の幅が広いバンドであるかが分かります。

『Telepath Telepath』のMVを観たあとに『ハイネ』のMVを観ると、その世界観の違いに驚くことでしょう。

得体の知れない奇妙な魅力

こちらが『Telepath Telepath』のMV。

白い壁で囲まれたスタジオでの演奏シーンから始まります。

始まりはよくあるMVのワンシーン。

しかし、ここから徐々にシュールな世界へと変わっていきます。

決して派手な音楽ではないけれど、聴いていると心がざわつくメロディーライン。

そして、ボーカル&ギター・エンドウアンリの良い感じに脱力した歌声。

それらが合わさることによって、この不思議な世界に色がついていきます。

イメージとしては滲んだ水彩画のような、そんなぼんやりした景色を連想させるこの曲。

はっきりした景色が見えてこないからこそ、深追いしたくなりますね。

温かいというよりもぬるい。

深いというよりも底がない。

まさに捉えどころのない音楽。

こういった得体の知れないものというのは、人を夢中にさせる奇妙な力を持っていますね。

『ハイネ』のMVと比較

続いてこちらは、アルバムの中で『Telepath Telepath』の次に収録されている『ハイネ』のMV。

曲もMVも『Telepath Telepath』とは大分違った世界観に仕上がっています。

こういったダークな世界も表現できるのがPELICAN FANCLUBの魅力の1つ。

この2つのMVから彼らの表現力の高さがよく分かります。

『Telepath Telepath』のイメージが水彩画なら、この『ハイネ』はカオスな抽象画といったところでしょうか。

芸術性重視で、受け取る人によって世界を変える作品。

PELICAN FANCLUBの楽曲を聴くと、まるで美術館を訪れたときのような感覚を覚えます。

妄想の世界

テレパシーが使えたら...

そもそも『Telepath Telepath』とはどういう意味なのでしょう?

「Telepath」つまりは”テレパシー”のこと。

五官の機能を使うことなく相手の気持ちを感じ取ったり、自分の気持ちを伝えたり……。

では、そんなテレパシーがこの曲とどう関わっているのか。

この曲のテーマは、おそらく”生命”について。

人間に限らず生き物が生きていくうえで必要な能力とはなんでしょう?

また不必要な能力とは?

テレパシーは生きていくのに絶対必要な能力ではないはず。

でも「あったらいいな」と思ったことはありませんか?

無くても生きていけるけど、あったら便利なもの。

この曲のタイトル『Telepath Telepath』は、「テレパシーが使えればいいのに」という意味なのかもしれません。

テレパシーが使えれば、もっと違う生き方ができる。

地球以外の星でだって生きていけるかも。

それは言ってしまえば妄想の話。

しかし、妄想の話を真剣に歌っているから、この曲はこんなにも不思議な魅力で満ちているのだと思います。

雪にもビーチにもウンザリ

「地球でしか住めない生活は嫌だ」と歌っているのも、真剣に妄想を広げた末に出てきた言葉なのかも。

アラスカで寒さに震えながら生きるのもイヤ。

フロリダで暑さに耐えながら生きるのもイヤ。

もういっそ地球以外の星で暮らせたらいいのに。

突拍子もないことを言っているようにも思えますが、確かに地球より過ごしやすい星があるなら住んでみたい……。

MVではアラスカと思われる雪山の景色とフロリダと思われるビーチの景色がそれぞれ出てきます。

対極的な2つの景色を背にして「地球での生活は終わりにしたい」と歌う姿は、やっぱりシュール。

MVで雪やビーチが登場するのは、「寒いのも暑いのもウンザリ」という意味が込められているのかもしれません。

地球に住む動物たちの心の声