手を振って別れて
まるでまた今度すぐ会うみたいに
風が強く吹くたびに
邪魔くさいもの
出典: あなたのために/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
ここからの歌詞は、どれほど自分という存在が彼にとって鬱陶しかったかを綴っています。
といっても、彼にそう言われたわけではなさそう。
自分のこれまでを思い返した時に主人公がそう自分で感じてしまったのだと思います。
この部分の1、2行目は彼との別れを感じさせますね。
気軽にまたねって終わりにしてほしい、そんなせめてもの願いのようなものが伝わってきませんか。
3,4行目は自分を“風で視界を遮る髪のように鬱陶しい存在”だと比喩(ひゆ)しているようです。
彼への愛が強すぎてそう思われていたのかもしれないという主人公なりの別れを納得するための言葉にも感じます。
もうこの髪も無意味だわ
あなたのためにのばした髪は
今では傷んで枝分かれて
今週末切ろうと思うの
もう誰のものでもないわたし
出典: あなたのために/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
サビ部分のこの歌詞は共感する方も多いかもしれませんね。
愛する人がロングヘアーが好きだから頑張って髪を伸ばしたり。
本当は煩わしいなぁと思っても頑張って彼好みになろうとする女心がストレートに表現されています。
しかし、主人公はその伸ばした髪も切ってしまおうと思っています。
その理由は4行目。彼とは別れてしまったことが決定的になりました。
気持ちを切り替えるためなのか、ロングヘアーは好きじゃないからなのか…。
とにかく主人公はもう彼の好みに自分を合わせる必要がなくなったのです。
分かっていたけどどうしようもなかった
あなたはきっと分かってた
わたしの重さに気づいてた
時々わたしも気づいてた
あなたのうんざり伝わってた
出典: あなたのために/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
ここからは2番の歌詞に入ります。まずAメロで伝えているのは愛するが故の空回り。
好きすぎて空回る主人公の行動に、彼が少し疲れていたのがわかります。
そしてそれは誰でもない主人公本人だって気が付いていました。
悲しいかな、それを知ってもどうすることもできなかったのです。
頭ではわかっていても、疑ったり詮索したり、妄想したりが止まらなかったのでしょう。
読者の皆さんの中にも理解できる感情だと共感する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
言ってしまってから、動いてしまってから、彼の反応を見て後悔する…。
彼がどう思うかよりも自分の気持ちが先走ってしまった時の感覚ですね。
でも、逆をいえばそれほど主人公は彼のことが大好きだったということです。
あなたの困る顔も良く知っている
腕を掴んで 首振って
まるで駄々をこねる子どもみたいに
涙と絡まって
邪魔くさいもの
出典: あなたのために/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
そして自分がまるで駄々っ子のように彼に甘えていたこともわかっていました。
きっと鬱陶しくて邪魔で、うんざりしていたのはそんな自分の愛の重さだと。
なんとも切ないですが、大好きな人に思いっきり甘えられるというのは少し羨ましくもありますね。
全身全霊でぶつかって、受け止めていてくれたからこそ、彼女はそのままでいられたはず。
いつしか彼がそれを“重い”と感じるようになってしまったのはとても悲しいことです。
彼の心変わりか、重さが愛を通り越してしまったのか…。
どちらにしても適度な距離感を保っていられたらよかった。そんな気持ちもありそうです。
あなたのためにと思ってしてきたことに意味があったの?
あなたのために覚えたメイク
今では枯れた砂漠のように
涙流しても乾いてしまう
もう誰にも求められないわ
出典: あなたのために/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
ここでは一気に感情が溢れ出しています。
最後の行はとても悲観的ですね。
そんな風に思うのは、彼のためにやってきたことが報われなかったという想いからでしょうか。
失ったものの大きさがあまりにも大きく、彼女の日常さえも変えてしまっていくようです。