「一握の砂」とは、歌人・石川啄木の歌集のタイトルです。

この歌集に収められた有名な句があります。

「はたらけど はたらけど なお わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」

サビの最後はこの句を引用した歌詞になっています。

続いて2番です。

(黄)やれば出来る子って ママに言われたんだ
(黄)やるときゃやるよって ママに言い返した
(緑)だけど何のために、人は働くの?
(紫)人に使われたら 負けなんじゃないか?

(桃)難しいことは掘り下げないとさ、
(桃)わっかんないんだけどね
(赤)ああ、お仕事ForYou 誰かが絶対に
(赤)喜んでくれるじゃない?

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

このあたりから、働くむなしさのようなものが見えてきます。

いくらがんばって働いても生活は楽にならないし、一体何のために働いているんだろう?と。

働くと働くと
君に会う時うれしいし
働くと働くと
君の笑顔が見れるし
ただじっと手を見ていたんじゃ
一握の砂もこぼれる

働こう働こう
ビッカビカに輝け!
働こう働こう
必ず
誰かが
助かってくれてる
それがプライド
労働For You あ~は~ん

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

そんな、見えかけたむなしさを振り払うように、働く喜びとやりがいを言い聞かせるような歌詞です。

ここは全員で合唱しています。

続いてはこの曲の聞かせどころのひとつである、メンバーラップパートです。

(緑)自分を試せるチャンスだ労働!
(紫)ボンヤリしてても過ぎてく一生!
(赤)試すか? (どうする?)
(赤)やめるか? (負けたら?)
(赤)こわいの? (なめんな!)
(赤)よっしゃ~! Oi!

(桃)や~ってやろうじゃねえのよガッツリ!!
(黄)そしたら全員叫ぶぜ!? 「オッケー!」
(黄)行くぞシュプレヒコール!
(全員)「時代はいつでもグールグルっ!」

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

シュプレヒコールとは、集団で声を揃えて同じフレーズを大声で何度も繰り返し唱和することです。

デモ行進などでよく見られますが、労働者が賃上げ請求をする春闘などでも見られます。

ちなみにとあるテレビ番組でシュプレヒコールの意味をももクロメンバーに聞いたところ、百田夏菜子はわかっていませんでした。

(緑)もちろんいいことばかりじゃないがな
(赤)そんなの働いたなら言わずもがな
(黄)おこられ (桃)ぶち切れ (黄)トラブり (桃)あやまり
(全員)へこんでるやつらは大体友達
(緑)生きてる証だ君のため 労働!
(紫)お金がもらえるところも 重要!

(赤)労働For You!
(赤)みんなで一緒
(全員)オ~回りゃいつでもグールグルっ!

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

ドラゴンアッシュの「悪そうな奴らは大体友達」を引用するなど、少し遊び心の見えるラップパートです。

最後のフレーズは吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」からもじった歌詞になっています。

大槻ケンヂはこの部分はNGになるだろうと思っていたそうですが、そのまま採用されたとのことです。

そしていよいよ、最後のサビに入ります。

働こう働こう
その人は輝くだろう
働こう働こう
生きていると知るだろう
ただじっと手を見ていてさえ
今それがチャンスだってわかる

働くぜ働くぜ
バッチバチに輝け!
働いた働いた
気持ちいい
ただじっと手を触れるだけで
一握の砂まで輝きだせ

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

ここに来てまた働く喜びがよみがえっています。

働く姿が輝かしく歌われています。

まさに働く人々への応援歌という感じですが、実はそのまま終わらないのがこの歌なのです。

労働の喜びを今こそ歌おうぜ!
全員で叫べば見えるかも知れないぜ!
プライドとハートでガッツリ労働For You & Myself

出典: 労働讃歌/作詞:大槻ケンヂ 作曲:イアン・パートン

労働の喜びを歌おう!と言っているのですが、「全員で叫べば見えるかも知れないぜ」と歌っています。

つまり、まだ労働の喜びは見えていないのです。

最後の最後に少し皮肉っぽい歌詞を持ってくるあたりが、大槻ケンヂのこだわりだったのかもしれません。

しかしこんな歌詞を当時まだ全員10代だったアイドルが歌うというのはやはりインパクトがあったと思います。

MVも話題に

「労働讃歌」のMVは、ももクロメンバーが省エネスーツで頭にネクタイをまいた姿で踊るのが話題になりました。

しかしそれ以上にインパクトがあったのは彼女らが居酒屋で酔っぱらった姿や、折り詰めを持って千鳥足で歩くシーンです。

もちろん、当時全員未成年の彼女らは本当に飲んでいるわけではありませんよ。

曲だけでなく、MVも名作です!

伝説のバンドが超絶カバー!

作詞した大槻ケンヂのバンド、筋肉少女帯が「労働讃歌」をカバーしています。

超絶テクニックバンドメタルアレンジでカッコよく演奏しています。

筋肉少女帯のアルバム『THE SHOW MUST GO ON』に収録されています。

彼らのライブでも演奏されていて、サビでは全員が拳をあげて大合唱になります。

こちらもぜひ聞いてみて下さい!