なんと番組の公開から瞬く間に、彼はリリースまで漕ぎ着けたのです。
その詳細は、2018年7月18日に「五月雨」と「夏至」のダブルタイトルで各種配信サイトから配信が始まりました。
配信リリース後も、彼の勢いは留まることを知らず、Apple Musicでは「今週のNEW ARTIST」に選出されたり、Spotifyのバイラルチャートでも首位を獲得しています。
そして、この音源も何とも彼らしい作品に仕上がっているのです。
編成はライブと同じギター弾き語りスタイル。さらには一発録音。
歌とギター以外の楽器は一切なしのシンプルな音源だからこそ伝わってくるリアリティーは鮮烈で、ビシビシと心に言葉と音が飛び込んできます。
ちなみに、レコーディングは彼にとって初めての経験だそうです。
それはそうですよね。15歳なんですもんね。
そんな彼が、リリースに際してコメントしている動画もありますので、ぜひチェックしてみてください。
「五月雨」もかっこいい!
そして、さらに合わせてチェックしてほしいのが、もう1曲の「五月雨」です。
この楽曲こそ、彼が世に拡まっていった1曲なのです。
降りしきる雨のように激しく、切なく鳴るギターのストロークの音に合わせて、語られていく文学的な言葉の数々。
15歳とは思えない切り取り方で歌われる思春期の想いが、彼の独特の声色と歌いまわしでもって焦燥感を急き立ててきます。
大人びた言葉のチョイスの中にも若さも垣間見え、伸びしろも残した楽曲は恐れさえ感じます。
果たして、どこまで彼は突き進んでいくのでしょうか。
それでは、次にそんな天才が紡ぐ「夏至」の歌詞を深追いしていきましょう!
恐るべき天才が放つ曲の歌詞を深追いしよう!
夏への追憶を歌に!
かなり前の 自分の中を透かして見た
新しい空気を 吸った僕だ
夢の中で 牙を剥いたあの人の顔 まだ覚えてる
出典: 夏至/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
ますは、導入部分です。
過去を回想していくような冒頭になっています。
若いにも関わらず、大人びた雰囲気を感じるのはこういった歌詞の世界観からかもしれませんね。
そして、過去に負った傷を忘れられないまま、現実の自分と対峙するような歌詞からは、逃れることのできない切なさのようなものを感じます。
そうだ 思い出した
あの夏に 取り残されて 何年たったか
虫のように強く 果物のように美しい
君がいた 100年前だ
出典: 夏至/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
そして、そんな過去に捕らわれている自分を客観視する歌詞へと続いていきます。
懐かしい夏の景色を思い出させてくれる歌詞ではありますが、気持ちが未来へ向いてるのか、過去へ向いてるのかはっきりとしません。
これは「100年前」という言葉があることによるものです。
未来から見た100年前の今なのか、今から100年前の過去なのか...
非現実的な言葉を提示することで、違和感や不安定さを醸し出し、一気にその世界観へ引き込まれてしまうのです。
多くの人が見たことがあるような景色をイメージさせつつ、誰も見たことがない言葉で新しい世界へと引き込んでいくのが彼の魅力ではないでしょうか。
悲しみを含んだ 夏の光
束ねてみたら 光は消えた
今日の空は 鰐の背中みたいだな
やけにさびしい 目の前に1人
灰色のシャツを着て 歩いている カラスが鳴く
出典: 夏至/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
さらに、切ない夏の情景が描かれていきます。
鮮やかですっきりとした夏の景色の中で、1人佇む姿は自分を映しているのでしょうか。
「灰色」や「カラス」という言葉が、夏の鮮やかさを奪い取り、その切なさに拍車をかけていきます。
そうだ思い出した あの夏に
取り残されて 何年たったか
獣のように繊細で 刃物のように綺麗な
あの人がいた 過去の世界だ 過去の世界だ
出典: 夏至/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
そして、向いていたのは過去の世界だったようです。
夏の切なさや寂しさというものは、きっと彼だけが感じたものではなく、昔から延々と続いているものではないでしょうか。
変わることのない鮮やかな夏の空の下で、切なくなって佇んでしまう繊細な心の持ち主が彼なのかもしれません。
そして、それは100年前から似たような人が存在し、そんな過去の世界に生きた似たような誰かに想いを馳せていると考えることができます。
あぁ また ここで気づいた
あぁ もう 手遅れだった
やさしすぎる記憶が
こびりついて 離れない 不意に
強くなる風に 苛立ちを感じ
とける壁に 体をあずけ ちへどを吐く
出典: 夏至/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志