Every Little Thingの名曲「スイミー」から進化を遂げた「まだスイミー」
持田香織のセルフカバー
Every Little Thingの31stシングル、「スイミー」。
13年の時を経て、グループのボーカルを務めた持田香織さんがセルフカバーしたのが「まだスイミー」です。
「スイミー」ではグループ名義でしたが、「まだスイミー」は持田さんのソロという扱いになっています。
歌詞やメロディはほぼそのままに、ところどころアレンジが加えられました。
ドラマを観ていた人なら、誰しもが懐かしいと思ったのではないでしょうか。
CDジャケットもパグのKEN…ではなくタツオの顔という可愛らしい構図です。
タイトルの「スイミー」とは「Swimmy」、つまり「水泳」という意味。
主人公はどこで、何故泳いでいるのでしょうか。
13年ぶりに再び脚光を浴びたこの曲の歌詞を見ていきましょう。
ドラマ『まだ結婚できない男』主題歌
「まだスイミー」はTVドラマ『まだ結婚できない男』の主題歌です。
『まだ結婚できない男』は13年前のドラマ『結婚できない男』の続編。
オリジナルの「スイミー」も前作の主題歌でした。
タイトルにもなっている「結婚できない男」とは、阿部寛さん演じる主人公・桑野信介のことです。
前作の40歳の時点でも結婚できずにいましたが、13年後の53歳になった今作でもまだ結婚できていません。
だから『まだ結婚できない男』なのですね。
そのタイトルを受け、主題歌も「まだスイミー」というわけです。
ちなみに再び主題歌がこの曲になったのは、主演の阿部さんたっての希望でした。
ですから『結婚できない男』といえば「スイミー」。
喜んだファンも多いのではないでしょうか。
「スイミー」もそうだったように、「まだスイミー」もこのドラマの世界観と繋がった歌詞になっています。
ちなみにジャケットのタツオはこのドラマに登場した、桑野さんの隣人が飼っている犬です。
色々な日々の先に
生きていれば、人は様々な日を過ごします。
困ったことが起こる日もあれば、怒りで我を忘れる日もあるでしょう。
それどころか、毎日が退屈に感じられることもあるかもしれません。
しかしながらそうして日々に流されていると、時折素敵なことも起こる筈です。
その「素敵」を過去に埋もれてしまわないように、主人公は泳ぎ始めます。
秋がきっかけをくれる
不思議なことがあるよ
綺麗なことがあるよ
秋の匂い
屈む風が僕を勇気づける
出典: まだスイミー/作詞:Kaori Mochida 作曲:Daichi Hayakawa
どんな人生でも、不可思議に感じる偶然や、美しいものを眺めて感動する瞬間が一つや二つあるものです。
その時風と一緒に感じた「匂い」も、記憶に強く残ります。
季節は「秋」でした。
秋という季節から連想できる匂いとは、どんなものでしょうか。
銀杏の香りや落ち葉による土みたいな匂い、はたまた秋の味覚のおいしそうな匂い…。
枚挙にいとまがありません。
この時期特有の、なんともいえない匂いだってあります。
どんなものであっても、匂いというのは意外と記憶に強く残るものなのです。
印象に残った「匂い」と、それを空ではなくわざわざ自分のもとにまで屈んで運んできた「風」。
これらの要素が、主人公に何かをする決心をさせたようです。
主人公は何をしようとしているのでしょうか。
風が凪いだ空の下で生きる自分
夢歌う日々があるよ
戸惑う日々もあるよ
君の匂い
凪ぎる空へこころ満ちてゆけば
出典: まだスイミー/作詞:Kaori Mochida 作曲:Daichi Hayakawa
「こんな風になりたい」と夢を抱くのも、現実と理想のギャップに困惑するのもまた人生です。
日々の節目節目で、主人公はある人…「君」のことを思い浮かべていました。
その時一緒に鼻をつくのはやはり「匂い」です。
実際に「君」が主人公の近くにいたとは限りません。
匂いもまた記憶の一部ですから、映像と共に匂いも感じることがあります。