Österreichとアニメ「東京喰種√A」のダークな世界観
アニメ「東京喰種√A」の主題歌
大人気アニメ「東京喰種」の第2期として放送された「東京喰種√A」。
今回は、その主題歌として起用された楽曲「無能」をご紹介します。
多くのアニメファンを魅了してきた「東京喰種」は、大ヒット曲を生み出しているのも魅力のひとつ。
第1期の主題歌、TK from 凛として時雨の「unravel」はアニソンの定番ともいえる作品となりました。
それに続く作品が「無能」なのです。
ダークな世界観が絶妙にマッチ
「無能」はバンド「the cabs」の作曲を手掛けていた高橋國光のソロプロジェクトとして制作されました。
ソロプロジェクトの名前は「österreich(オストライヒ)」。
バンド「ハイスイノナサ」の元ボーカル・キーボードの鎌野愛を迎え入れ結成されました。
「the cabs」時代から渦巻くダークな楽曲センスが光っていた高橋國光。
鎌野愛の浮遊感漂う歌声とマッチして、幻想的な作品になっています。
東京喰種のダークな作風とも合っていますね。
独特な音色がクセになる
芸術性のある音選び
実際に楽曲を聴いて、まず印象的なのは独特な音色の数々です。
そこに様々なノイズや楽器、コーラスが追加されていきます。
これらが必ずしも「規則正しい和音」を奏でているわけでもないのです。
所々で不協和音スレスレの音がぶつかったり、台詞パートが入ったり…。
聴きやすさを重視するというよりも、「芸術性」を重視している印象。
歌を楽器の一つとして使っている気がします。
とても斬新で、よくあるポップスの規則性とは程遠いのですが、筆者はそれが魅力的だと思いました。
心の底から湧き上がる感性を惜しみなく再現しているのではないでしょうか。
幻想的なMV
雪景色に感じる閉鎖感
幻想的なのは楽曲だけではありません。
雪景色をメインに制作されたMVもとても美しく、楽曲の世界観を映し出しています。
映像は全て高橋國光自身がプロデュースしているそうです。
降りしきる雪と、白い空間で歌唱する姿。
これらは「白」というイメージから連鎖したものであるとのこと。
「真っ白」ではなくどこか曇った閉鎖感もあります。
この物語で語られる「テーマ」がとても重たいことを表現しているのではないでしょうか。
歌詞を解釈するにあたって
あえて詳細を明かさない
高橋國光自身、作詞の際は深く考えずに断片的に浮かんだ言葉を当てはめる手法を取っています。
だからこそ、高橋國光が普段から考えている事柄に関するワードが飛び交っているのでしょう。
具体的に歌詞の内容を解説することは「あえて」しないというスタンス。
自分の言いたいことを明確にするのではなく、ありのままの感性を形にするという考え方なのです。
それを踏まえたうえで、彼の綴った歌詞から感じ取れる意味を独自解釈していきます。