楽曲について
一つの通過点であるメジャーデビューアルバム「黎明プルメリア」
滋賀県発のロックバンド【WONCADOLE】。
2019年9月15日にメジャーデビューを発表しました。
今回の楽曲「黒い街」はアルバム『黎明プルメリア』の収録曲です。
これが彼らにとってメジャーアルバムとなりました。
そしてこの「黒い街」はリテイクバージョンとなっています。
数年の時を経てもう一度芽吹いたこの楽曲。
ずっと温めてきたこの曲には彼らの幾何もの想いが込められています。
はたしてどのようなメッセージがあるのでしょうか。
2013年の『黒い街』との比較
こちらは2013年の閃光ライオットで披露された『黒い街』です。
アルバム「黎明プルメリア」に収録されているものと比較すると目立つのはその想いの強さ。
2013年版では目の前の夢をなんとしてもつかみ取ってやるという獣のような衝動を感じます。
そして2019年版では目標を乗り越えた先にまだ夢を見続ける1つ落ち着いた彼らの姿。
2つを聞き比べることで彼らの成長が感じられます。
生きている世界はまるで絶望
真っ黒な世界にただ一人
遠い場所で生まれた1つの命は
何処かで誰かのために動いてる
僕は知った君を知った この広い世界で
なのに僕は見えなかった
出典: 黒い街/作詞:樋口侑希 作曲:樋口侑希
生命としての使命感や生きていく上で必要な誰かを想う心が謳われています。
歌詞の2行目にあるように、人は人を助け、助けられながら生きていくのです。
タイトルに「黒い街」と掲げられているように、主人公のいる場所は真っ暗なのでしょう。
故に自分の目に映るものや感じたものが全てモノクロがかってしまう。
いうなれば呼吸をしているだけで自分を生きているとはいえない状況なのです。
続きをみていきましょう。
逃げるように走った黒い世界
地図にない場所 目指して僕は
黒い街をひたすら走った
灯りの無い場所なんて怖いから
目を閉じた
出典: 黒い街/作詞:樋口侑希 作曲:樋口侑希
まるで何かから逃げ出すかのように走っている情景が浮かびます。
自分が存在しているこの世界は他の人のいる世界とは違う。
そこは暗くて底が深い、まるで闇の中といえるのです。
そんな世界から脱却しようと、必死に出口に向かって走り出します。
過去の出来事や未来への不安に懊悩煩悶している自分が生み出した世界。
その降りかかるネガティブ感情に今にも飲み込まれそうになります。
歌詞の4行目にもあるように、そんな自分を見て見ぬふりをするのです。
絶望感に襲われた主人公の心情が映し出されている歌詞。
さてここからどのように心情が移り変わっていくのでしょうか。
深淵の中で望む光
一寸先も見えない僕は 二度とない景色を望んだ
このクシャクシャにした紙飛行機は外に投げました
数秒前に生まれた衝動 なんて僕の中で
目をつぶってしまうから、しまうから叫ぶ 僕の言葉を
出典: 黒い街/作詞:樋口侑希 作曲:樋口侑希
深淵の闇の中でもただ一つ望んでいた想いがあったのです。
それは歌詞の1行目にもあるように、見たことの無い唯一無二の世界。
具体的にロックバンドの視点に立つと、満席にしたアリーナ会場などが想像できます。
そして何度だって心の中で生まれてくる貪欲な欲求や前に進む意志。
それらは泡のように浮かんではすぐに消え去ってしまいます。
だからこそ、そんな心の中で浮かび上がった想いをそのままにせず声にします。
まさしく彼らにとっての「歌」。
そんな歌と共に思い描く世界に向かってただひたすらに走り出します。