過去の悲しみの記憶を打ち消すのはなかなか難しいものですが、その記憶を化石のように消えないけれども、思い出すにはきっかけが必要な存在へ変えてくれるのでしょう。
そのきっかけとなるのが、眠りの森へ痛みをいざなうことではないでしょうか。
純粋で何も疑うことを知らない、道に迷ってしまった“あなた”が持つ歯がゆさ、つまり悲しい記憶が希望へ進化する日まで守ってくれると言っているようです。
再び命が巡るとき
生命(いのち)はまぶしい朝を待っている
最後の懺悔もかなわないなら
いつか時代の夜が明ける
世界よ まぶたを閉じて
生命は目覚めて 時を紡ぎだす
あなたの証拠をさかのぼるように
そして光が胸に届く
心よ 原始に戻れ
出典: 心よ原始に戻れ/作詞:及川眠子 作曲:佐藤英敏
命が朝を待つということは、再びめぐってくるということでしょう。
そのために世界はまぶたを閉じ、時代の夜明けを待っているのかもしれません。
そしていつか目覚めて時を紡ぎだした生命が、化石となってしまった悲しい記憶をさかのぼるように、胸に光があふれていくのかもしれません。
その時こそ、心、生命、すべてが化石となった原始に戻るときではないでしょうか。
エヴァンゲリオンの主題歌候補だったって本当?
印象的な歌詞が並ぶ「心よ原始に戻れ」ですが、ほかの『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌を見ても、共通するイメージは多いと思います。
現に「心よ原始に戻れ」は『新世紀エヴァンゲリオン』のイメージソングとして作られました。
使われることはありませんでしたが、「魂のルフラン」のB面として多くの方の心に残ったのです。
実際に『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌として有名な「残酷な天使のテーゼ」と「魂のルフラン」と比べてみるといいでしょう。
「残酷な天使のテーゼ」との共通点
人は愛を紡ぎながら 歴史を作る
女神なんてなれないまま 私は生きる
出典: 残酷な天使のテーゼ/作詞:及川眠子 作曲:佐藤英敏
「残酷な天使のテーゼ」を作詞した及川眠子さんは哲学的な作詞を依頼されたということですが、愛を紡いで命の歴史を作り上げていくという部分は共通していますね。
また「心よ原始に戻れ」も哲学的な歌詞が見られますので、共通していると言えるでしょう。
「魂のルフラン」との共通点
私に還りなさい 生まれる前に
あなたが過ごした大地へと
この腕(て)に還りなさい めぐり逢うため
奇跡は起こるよ 何度でも
魂のルフラン
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
命の巡りという部分では共通していますね。
「魂のルフラン」も輪廻転生などの意味合いを持った歌です。
「散り急ぐ あざやかな姿で」や「限りある永遠を探して」に命の終わりを感じたり、何度も登場する「還りなさい」に命の始まりを感じることでしょう。
今更だけど『新世紀エヴァンゲリオン』って?
おそらく『新世紀エヴァンゲリオン』の名前だけ知っているという人は多いと思いますが、内容まで知っているという人はどのぐらいいるでしょうか。
劇場版絡み始めたという方のためにも、基本的なストーリーを見てみましょう。
舞台は2000年にセカンドインパクトが起きた後の世界で、1年中夏という世界です。
14歳の少年少女が汎用人型決戦兵器・エヴァンゲリオンに乗り、使途と戦う物語です。
様々な葛藤を描きながら、時に残酷で時に感動的なストーリー展開が魅力となっています。
NERVの人たちは、同級生たちは、エヴァンゲリオンのパイロットたちの運命は…!?
自分はここにいていいのか、存在価値を求めるような主人公・碇シンジの成長にも注目です。