日本のHip Hop界のレジェンド的存在

SEEDA【花と雨】アルバム全曲解説!辛い別れの経験の影響はどう描かれる?金字塔的アルバムを徹底解説の画像

SEEDAは1996年の1stアルバム「デトネイター」でデビューしたラッパーです。

東京生まれのSEEDAですが、幼少期はロンドンで生活しており、英語も堪能でした。

そんな彼のラップの特徴は、その英語力を活かした、英語と日本語を織り交ぜたリリックです。

これは、当時の日本のHip Hop界では他に類を見ないものでした。

卓越した技巧とその革新的なラップは、最初こそあまり受けなかったようです。

しかし、SEEDA自身も日本のラップシーンに合わせていくように自分のスタイルを変化させています。

それが功を奏し、徐々に人気が出てファンを獲得していきました。

SEEDAの自伝的アルバム

SEEDA【花と雨】アルバム全曲解説!辛い別れの経験の影響はどう描かれる?金字塔的アルバムを徹底解説の画像

このアルバムは2006年に発売された、SEEDAの4枚目のアルバムです。

これはSEEDA自身の自伝的なアルバムであり、「リアル感」を追求されています。

あけすけなリリックが綴られた楽曲もあり、聞いていて映像が浮かんでくるような感覚になるでしょう。

名曲ぞろいのアルバムですが、やはり一番の人気曲は表題曲「花と雨」のようです。

ラップの真髄が詰め込まれた前半曲

1.Adrenalin

題名のアドレナリンからイメージできるようにこの曲ではSEEDAが「頭にきてること」を羅列しています。

冒頭では自分を認めない物に対しての強烈なコトダマをリリックにのせているのです。

さらに、曲の後半では「ラップといえばアメリカ」という考えに対する思いをぶつけています。

画一的な思想はラッパーじゃない、ラッパーならラップ音楽だ!と言わんばかりの歌詞です。

2.Tokyo

人が集まる場所を目指して東京に来て、一歩道を外れたところにある出会いに目を向けています。

そこでは偽善者だけじゃなく、尊敬できるラッパーやヤクザに会えば偽物と本物の違いに気づけるはずだ。

そんな独自の視点から東京を見ている楽曲です。

お金で買えないものを手に入れるために東京に行ったのに、お金で買えるものに群がる人達。

様々な夢を見て上京し、東京にはそんな人が集まっています。

そんな人たちにSEEDAは問いている楽曲です。

3.Wheels

この曲は日本でもトップレベルの2人が高いスキルを持って応酬する楽曲です。

そのラップスキルを高いレベルでワックMCに対するディスりを次々と繰り出していきます。

それはまさに曲名のように「ヤバい回転速度」です。

両名のパンチラインはディスりながらも綺麗なラップであることを保ちます。

綺麗なフロウが両名の高いセンスを再認識させてくれるのです。

曲の終盤でのSEEDAとBESとの掛け合いはまさに「真のフロー巧者」と納得の応酬。

インパクトがある2人の掛け合いをぜひ聴いて欲しい1曲です。

4.SKiT

こちらは曲ではなく、Skitというぐらいの戯れの日常会話を1曲としています。

その内容も曲についてではなくプライベートな話を収録しており、彼らの日常に少し近づけるものです。

時間にして20秒程度ですが、前後の曲との親和性も高く、特に違和感なく聞くことができるでしょう。

全曲リピートをかけて何度聞いても同じ会話をしているのに、耳にも心地よい不思議な楽曲です。

5.不定職者