ひこうき雲について
1973年11月発売の1stアルバム「ひこうき雲」に収録
まず、「ひこうき雲」が収録されているアルバムやシングルなど、基本情報について紹介します。
同名の1973年11月発売の1stアルバム「ひこうき雲」に、はじめてこの曲は収録されました。松任谷正隆と結婚する前のため、アルバムのアーティスト名は旧姓の「荒井由美」となっています。
細野晴臣・林立夫・鈴木茂といった「はっぴぃえんど」のメンバーがバックバンドを務めていることから、日本の70年代ロックが好きな方からも愛されている曲です。
「ひこうき雲」は、1989年12月発売の2ndシングル「きっと言える」のカップリングや、ベストアルバム「Super Best Yumi Arai」「日本の恋と、ユーミンと。」などにも収録されています。
元々は雪村いずみのための曲
「ひこうき雲」は、美空ひばり・江利チエミと並んで、「三人娘」と称される雪村いづみのために元々は作られた曲です。
レコーディングも行われましたが、さまざまな事情により発売される事はありませんでした。松任谷由美が1stアルバム「ひこうき雲」で唱ったことで、はじめて世に出たのです。
発売はされませんでしたが、雪村いづみはこの曲に思い入れがあると言われています。実際にライブなどで唱っており、後に彼女のアルバム「COME ON BACK」にも収録されることになりました。
スタジオジブリの映画「風立ちぬ」の主題歌に
映画の世界観を引き立てる
「ひこうき雲」はスタジオジブリの宮崎駿監督作品の映画「風立ちぬ」の主題歌に使われました。映画を観て、この曲をはじめて聴いたという若い方も多いのではないでしょうか。
戦争や飛行機をテーマに命のはかなさを描き、生きることについて考えさせられるこの映画の世界観を「ひこうき雲」がとても引き立てています。
宮崎駿が選んだ「死」への歌
この曲は「死」をテーマにした曲ながら、どこか優しさを感じる曲でもあります。
ジブリは公式サイトで、作品内で戦争を糾弾している訳ではないといいきっています。 そして自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描いた、と発表しています。 「ひこうき雲」の曲が主題歌に選ばれた理由も、真っすぐに生きた人の「死」を歌った歌だからではないでしょうか。
優しい歌声と寂しい気持ちが、映画の世界を作り上げています。
まるで映画の為に書き下ろした曲のようで、1973年に作られた歌とは思えない程です。
ユーミンの曲が流れると、ひこうき雲を出しながら飛ぶゼロ戦が浮かびます。
しかし実際は映画に出てくるゼロ戦はプロペラ機である為、ひこうき雲は出ないのだとか…。
曲の作り出すイメージの強さに驚かされます。
スタジオジブリとコラボした映像も話題に
スタジオジブリと松任谷由美がコラボレーションして作られた、温かみのある映像も話題を集めました。
「ユーミン×スタジオジブリ ひこうき雲 40周年記念盤」に付属するDVDの中にフルバージョンが収録されています。