素直になれない「僕」の思い
楽曲「天ノ弱」には、大きく2人の登場人物がいます。
歌の主人公である「僕」と、もう1人「君」です。
この2人は、遠距離交際をしている様子であることが、歌詞の中から読み取れます。
しかし、僕は別れのことを考えているような言葉も。
これをそのままの意味で受け取ってはいけません。
曲名にある通り、僕は「あまのじゃく」だからです。
タイトルでは「天ノ弱」と書いて「あまのじゃく」ですが、本来は違う字を書きます。
「天邪鬼」が本来です。
わざと人に逆らうことをいうひねくれ者という意味です。
実際に曲中でも、「僕」の言葉はつかみどころがありません。
ですが曲が進むにつれて、隠し切れない本音が現れてきます。
できるだけ素直に
僕がずっと前から思ってる事を話そうか
友達に戻れたらこれ以上はもう望まないさ
出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164
曲の導入で、これが何についての曲なのかが明かされます。
僕の思いを明らかにする内容になるようです。
僕は、最大の望みのように言って1つの可能性を提示します。
わざわざ「戻る」という表現を使っているので、「君」とは友達以上の関係のようです。
おそらく、恋人同士なのでしょう。
僕は交際関係を終わりにして、普通の友人に戻ることを望んでいるのでしょうか。
とはいえ、別れを望む理由は、「君」のことが嫌いだからではないようです。
心の底から嫌いならば、もうそばにいたくないと思うでしょう。
対して僕は、友人で居続けたいと思っています。
君がそれでいいなら僕だってそれで構わないさ
嘘つきの僕が吐いた はんたいことばの愛のうた
出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164
君との合意が取れたら、すぐにでも交際関係をやめようとでもいいたげです。
ところが次の行で、状況が一変します。
僕が嘘をついていることを告白したのです。
曲名の通り、僕は「天邪鬼」なのでした。
ただ1つ変わらないのは、「君」に対する愛情です。
別れを望む心の奥には、まったく別の本音があるのかもしれません。
君を思いながら
僕の近況
今日はこっちの地方はどしゃぶりの晴天でした
昨日もずっと暇で一日満喫してました
出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164
僕の話は、住んでいる地域の天候から始まります。
わざわざ天気の話をすることには、2つの意味合いがあるのではないでしょうか。
1つ目は、他愛ない話から始まることで、「君」の反応を伺いたいという心情。
そして2つ目は、「君」に僕の近況を伝えようという思いです。
歌詞から、2人は違う地方に住んでいると推測されます。
県をまたぐだけでも天候はかなり変わるので、「君」の方は雨だったかもしれません。
2人の物理的な距離感が窺える一節です。
天邪鬼な僕
別に君のことなんて考えてなんかいないさ
いやでもちょっと本当は考えてたかもなんて
出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164
暇を持て余していたらしい僕は、何をしていたか語ります。
強がりをいうような口調で、「君」のことをなど気にしていないと言い張るのです。
ですが、すぐにそれを訂正します。
実は君を思っていたのでしょう。
それを素直に認めることができていません。