いっそ僕の全部、カトレア
君にあげたいのに最後だ
窓際の花瓶には君を挿しておくから
わかっておくれよ

出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna

ここで「僕」が登場します。どうやら主人公は男性のようです。

僕の全てを差し出すから受けとってほしい、一緒にこの想い出も...。

「君」とは女性のことでしょう。

捧げたいはずの花は最後の一輪だといっています。

窓際に置かれる花瓶というと、病院での入院中を連想させるのです。

ん?主人公はお見舞いに来ているのでしょうか。

枯れてしまったあとは、君との想い出を花瓶に詰め挿しておくよ。

最後とは「最期」を意味しているのかもしれません。

謎は深まるばかりですね。

見たい景色が見えない...

心を買い換えたはいいものの不鮮明だ
空が曇るから何かが晴れないようでさ

出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna

とうとう生まれ変わった主人公。

「買い換えた」とは一体どういうことなのでしょうか。

本当に札束を振りかざし、すんなり買えたとは考えにくいものです。

まっさらな心を手に入れ満足なはずの主人公は、どこか戸惑っているようにも感じとれます。

極々簡単に変われると、想像していたギャップを受け入れられないのでしょう。

目の前に広がる見るもの触るもの全てがぼやけ、はっきりとしてないのです。

いつも見ている青い空、今日に限ってひどく濁って見える景色

心は満たされず、やりきれない気持ちを表しているのでしょう。

もしかすると主人公はすでに...。

あの世とこの世

札束で見る目が変わるなら本望だ
曇りのない新しいまなこを買おう

出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna

今度は違うものを手に入れようとする主人公。

どうせ見えないのなら目を取り換えてしまえばいい。

メガネやコンタクトレンズを換えるように安易なことを思いつきます。

主人公はまだ現状を理解できず、呑み込めていません。

いくら空想のお金でなにを買おうとしても、意味を為さないのです。

なぜなら主人公は、現世ではなく来世に存在しているからではないでしょうか。

空が濁り曇って見えるのは、まぶたを閉じているからなのです。

急展開の後半へ

ここまでの歌詞をまとめます。

主人公は空想の世界に存在していて、未だ自分は生きているのだと思い込んでいます。

本当は、現世と来世を行き交いしているのです。

死の淵を彷徨っているといった方が正しいのかもしれません。

「君」への心残りがそうさせ、逝った現実を受け入れられないのでしょう。

魂が浮遊し、成仏できない様相を描写しているのです。

不思議な現象ですね。そう、花言葉の「魔力」のように...。

それでは後半の歌詞へいきましょう。

気づきだす主人公

いっそ君の全部、カトレア
何も見えないで眠ったら
目が覚めた世界は雲ひとつない鮮やかだ
戻っておくれよ

出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna

先ほどとは異なり、「君」の全てはカトレアといっています。

心と、まなこを取り換えた主人公。

まっさらで決して曇ることのない、まなこを手に入れたはずなのに何も見えなかったようです。

現世に自分が存在していないことに、じわじわと気づいてきたのでしょう。

眠りから覚めたのではなく、自分が居るはずの世界ではないことに驚いています。

雲ひとつないのも当然です。

主人公は天国へと旅立ったのですから。

戻りたくても戻れない悲痛な叫びが聞こえてくるようです...。

そばにいるよ

そして僕の全部が消えて
夏陰の間眠っても
君のいた世界をどこかで思っているから

出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna