なんといっても今年は「アオハル」
2017年のBUMP OF CHICKENの活動を語るのに外せないのは、やはり日清カップヌードルのCMでしょう。
「記念撮影」という楽曲が往年のアニメキャラクターの恋模様を華やかに照らしていました。
Galaxy「昨日までを、超えてゆけ」シリーズCMに起用されていた「リボン」も良かったですね。
このCMが流れたら思わず目を向けてしまうようなインパクトがありました。
BUMP OF CHICKENの楽曲は世界観をしっかりと持ったものが多いので、CMと合わさるとまるで短編映画でも見せられたかのような印象を受けます。
どちらのCMもBUMP OF CHICKENの楽曲だったからこそ際立ったCMになったのではないかと思います。
オーイエーアハンな1曲
さて、今回ご紹介する「ハンマーソングと痛みの塔」は2009年にリリースされたアルバム「orbital period」に収録されています。
このアルバムには映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の主題歌ともなった「花の名」や「プラネタリウム」「カルマ/supernova」「涙のふるさと」も収録されています。
アルバムタイトルの「orbital period(オービタル・ピリオド)」には 「軌道周期(公転周期)」という意味があります。
これは公転する天体が母体を中心に1公転するのにかかる時間を表す言葉です。
このアルバムで鍵となる数字は”28”。
この28という数字は、暦の上で曜日が一致するのが28年ごとであることから28を一つの周期として捉えた数字です。
人生の公転周期が28として、メンバーの全員が28歳の時に、28曲(無音を含む)入りのアルバム、と天体好きな藤原基央らしい凝った作りのアルバムでした。
オーイエーアハンとは?
BUMP OF CHICKENと言えば「オーイエーアハン」と言われているのをご存じですか?
「天体観測」を想像してもらえるとすぐにピンとくると思います(笑)
意味を持たない言葉ながら、藤原基央の感情があふれ出る瞬間に放たれる「オーイエーアハン」。
実はBUMP OF CHICKENの楽曲の81%(※2016年7月現在)にこの「オイエーアハン」が含まれているそうです。
今回ご紹介する「ハンマーソングと痛みの塔」にも控えめながら「オーイエーアハン」が含まれています。
ちょっと気にしながらまずは楽曲を聴いてみましょう。
ハンマーソングと痛みの塔の歌詞を紹介
それでは改めて、歌詞の世界を読み解いていきましょう。
この曲はとても抽象的な歌詞です。
まるで童話の世界のようなこの曲には、小さな痛みを詰めた箱をどんどん高く積み上げて、その上から世界を見下ろす主人公の姿が描かれます。
誰かに気づいてほしくて積み上げては登ってを繰り返していたら、いつの間にか地面ははるか遠く、人々がアリのように見えるまで積み上げてしまいました。
そして雲にも届きそうになった時、自分は神か王様になったかのような気分になります。
あまりの高みに孤独を感じた主人公を待ち受ける運命は?
もう少し細かく読み解いていきましょう。
震えてるのはどちら様?
どんどん強く もっと強く 唄声響く痛みの塔
そのてっぺんに しがみついて 震えてるのはどちら様
出典: https://twitter.com/toshichichimi/status/937664165774102529
そう、痛みの塔のてっぺんにしがみついているのは他ならぬこの歌の主人公です。
一体どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
「痛み」を詰めた箱の塔
捨てたくても捨てられなくて 小さな痛み溜まってた
そいつをずっとしまってきた 一個目の箱満たされた
別に今更辛くもないけど 誰かが見てくれたらな
これだけあれば許されないかな 少し優しくされるくらい
出典: https://twitter.com/haijin_a/status/935815737276473345
主人公の彼が登っていたのは、捨てられない小さな「痛み」を詰めた箱。
箱を一つ詰め終わった時、気づきます。
「これだけ傷ついたんだから、みんなちょっとくらい優しくしてくれるよね。」
そしてその痛みの箱はたった一つでは誰も気づいてくれません。
どんどん高く積み上げることで彼の”声のない叫び”に気づいてもらおうとしています。
僕はここにいる、こんなに傷ついている、誰か気づいて。
そんな思いがつまった箱はどんどん高く積みあがっていきます。