僕が求めたこと
嫌がったのは虐待ではなく…?
嫌がる僕を見て 強く そしてやさしく無理矢理の決断
決して君には言えない
皮のキシム音が痛い 傷を深めてゆこう
嫉妬深い君はいつでも冷血なの?
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
1行目、僕が嫌がったのはもちろん虐待などではありません。
むしろその逆。虐待してもらえないことが嫌なのです。
実の母親以外はきっと、虐待という行為に抵抗感しかありませんでした。
だからそんなことはしたくないと手を止めたこともあったのでしょう。
しかし虐待から愛を感じる僕にとっては、虐待のない状況が苦しくてたまりません。
だから求めました。苦しそうな顔をしながら、心が満たされていく感覚を味わっているのでしょう。
MOTHERがいない理由
幼い頃の虐待がね 今でも忘れずにいたい
なぜMOTHERはいないの 教えてよ
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
この理由に迫ると同時に、僕が犯してしまった罪にも迫っていきましょう。
MOTHERがいない理由。それは僕が殺してしまったから。
先ほど解釈したとおり、僕にとって虐待はその相手からの愛そのものでした。
攻撃されることでしか愛を感じられないのです。
その感覚を植えつけたのが最初のMOTHER、つまり僕の実の母親だったと考えられます。
しかしそのMOTHERは死んだのか、家出てしたのか、離婚したのか、何らかの理由で姿を消しました。
僕にとっては唯一の愛だったといっても過言ではない母からの虐待。
それは彼の記憶に強く刻み込まれたことでしょう。
そこから始まったのが、歴代MOTHERによる虐待。
ここからの虐待は僕が求めたものであり、僕に主導権があったと考えられます。
僕は過去の記憶を封印しつつも、その歴代の君たちに実の母親の面影を探していたのではないでしょうか。
つまり同じだけ痛めつけて、同じだけ愛を注いでほしかったのです。
しかし自らの意思で起こす行動と、誰かに求められて仕方なく起こす行動は明らかに本質が異なります。
つまり僕にとって本当の母親以外から受ける虐待はどこか物足りなかったのだろうと考えられるのです。
虐待ができない人は自分への愛がない。愛がない人に用はない。そう考えた僕は歴代の君たちを殺してしまいました。
残酷に見えますが、僕は愛を渇望しているだけ。そう考えればごく自然な行為なのかもしれませんね。
MOTHERたちの想い
いつかはやさしさに気付いて 聖母なる“ゆりかご”の中で
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
ここのフレーズだけ視点が変わっています。
僕に虐待を強制される歴代のMOTHERたちの想いが綴られているのです。
彼女たちは本当の愛がどんなものか、それを理解している人たちでした。
だからこそ僕には、本当の愛がどんなものなのか気がついてほしいと心から願ったに違いありません。
ゆりかごのように包み込み、あたたかさ・安らかさを与える感情。
歴代のMOTHERたちが僕に伝えたかった本当の愛が描かれています。
過激な表現が多い本楽曲の中で唯一、優しさに溢れたフレーズといえるかもしれません。
伝わらない想い
止められない破壊衝動
時計は左回りでも 犯した罪は変えれず
最初で最後の理解者 壊した
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
実の母親に教わった虐待という愛の表現。
母親から与えられる苦痛には溢れんばかりの愛があると信じて、僕は虐待を求め続けました。
しかし虐待を強制される女性たちは次第にその行為に疑問を抱き、苦しみ始めるのでしょう。
だからこそ僕はそういった歴代のMOTHERたちを消してきたわけですが、どうやら現在のMOTHERは違う様子。
なんと僕が虐待でしか愛を感じられない子なのだと見抜いているようなのです。
これは僕にとって好都合。理解して虐待をしてくれる、またとない貴重な存在だからです。
しかし僕は結局、自分を理解してくれた女性でさえ殺してしまいました。それは何故でしょう。
その理由には僕が抱くトラウマが深くかかわっていました。