孤独も平気だった
暗い 幽い 森の中
取り残された感覚 思い出した
きみ無しじゃ 生きていけないって
依存しそう で厄介さ
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
約束をしていた人とは会わずにどんどん奥へ帰って行ってしまう主人公。
1行目の歌詞は主人公のいる背景をイメージできると同時に主人公の重たい気持ちも読み取れます。
気持ちとリンクしているようにどんどん周りが暗くなると、なんだか独りぼっちの感覚に。
おそらくこの孤独の感覚に、主人公は慣れたものだったと思われます。
容姿を見ただけで驚かれるのですから、孤独には慣れっこだった。
しかし現在はそうではなさそうです。
主人公の頭の中には今日会うことができなかった人が思い浮かぶ。
彼らがどんな出会いをしたのか不明ですが、主人公の心を温めてくれる自分だということが分かります。
たとえ話なのか事実なのか
もう駄目だ もし触れたら
消えて無くなるんでしょ 真っ白に
だめだ もう僕をさ
見つけないでくれよ お願いだよ
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
歌詞引用の1、2行はたとえばの話なのでしょうか。
醜い自分が君に触れてしまったらきっと嫌われてしまう。
そんな心情を歌っているようにも解釈できます。
しかし、もし2行目までの歌詞が事実だったとしたら。
本当に消えてしまうのだとしたら、歌詞の最後の行の「お願い」も納得できます。
一体どっちが消えてしまうのでしょうか。
どうしようもなく君がほしい
居場所を決めたせいで
凹んで 嵌まって 抜け出せなくなった
無限にある時間はいらない きみが 欲しいなら
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
自分はここにいるのがお似合いだと決めつけていた頃もあったのでしょう。
決めつけられるくらいにその場所は居心地が良かったのかもしれません。
人に罵倒されることもないし、容姿で嫌な思いもせずにすみます。
でもそのドロドロとした居心地の良さは、ずっと主人公にまとわりついて離れないようです。
せっかく君に会えたのに。
この場所にいるせいで君に会いにいく機会が全然ありません。
そこで主人公は初めて後悔するのでしょう。
いっそのこと君を忘れたい
もう冷めた きみどころじゃないくらい
時間に 追われたい
醒めた もう僕をさ
突き放してくれよ お願いだよ
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
君に会えなくて、辛い想いをするのなら。
君を考える暇もないくらい何かに没頭したい気持ちになってしまいます。
それか君が遠くへ離れたら踏ん切りがつくかもしれない。
それなのに…。
歌詞最後の「お願いだよ」の言葉から君が全然離れようとしない雰囲気が伝わります。
住む世界が違う
そもそも 住む世界が違うな
冗談だよ 口癖の
間違えた ふりして笑おう
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
サビでは「住む世界が違う」という言葉が頻繁に出てきます。
この言葉は主人公と君との圧倒的な違いを表しているのではないでしょうか。
たとえば犬と魚が惹かれ合うような、それぐらい圧倒的に世界が違うのかもしれません。
でもその言葉は冗談だと笑ってごまかしています。
本心はそう思いつつも君はそう思っていないようです。
だからそういうことは言わないでほしい、というようなことを言われているのかもしれません。
あぁ、なんか わからなくなりました
自分って誰 あれ 何故なれないの
降らす 張っ苦 胸が堕悪
強がり 群がり 口走り 空回り
僕なりに演じてるよ
ひとりぼっちが叫んでるよ
ねえ 気付いてた 知らなかったよ
どこに居ても 答えなど無いな
出典: Dear Mr「F」/作詞:ACAね 作曲:ACAね
ここの歌詞は言葉遊びも入っていて少し雰囲気が変わっている様子。
それでも主人公のどうしようもない感情がうまく表現されています。
自分の君に会いたいという本心と過去のトラウマやコンプレックスとの葛藤。
結局自分はどうしたいのか。
ちぐはぐな感情が主人公を渦巻くようにまとわりついて離しません。
そして、ふと気づくのでしょう。
どっちを選択したってある意味正解だし、ある意味不正解なのだと思います。
それでも少しでも正解を選ぶのであれば、自分が納得したものであることだと。