ダンサーの動きにも注目

ありのままでいたい

髪を振り乱し、猫背で股を開き、クルクルと駆け回る…。

そんな印象のダンスですね。

赤髪のダンサーは先ほどご紹介した「反発心」の象徴なのだと思います。

だから、「女はこうであれ」という概念と真逆のファッションや動きをするのでしょう。

美しく着飾っているけど、心の底ではこうした「反発心」も共存している…。

それを具現化したのが楽曲「ばけもの」であるといえます。

NakamuraEmiと向き合うダンサー

NakamuraEmiとダンサーが向き合うシーンも印象的ですね。

ダンサーは全く目を逸らしません。

それどころか、堂々とNakamuraEmiの様子を好奇の目で見つめています。

おそらく解放された心を象徴する演出です。

「開き直り」にも似た状態なのでしょう。

「今は自由でいたい」「ありのままの自分でもいいじゃん!」というメッセージが読み取れます。

ダンサーの動きが鈍って…?

各々開放的なダンスを繰り広げていたダンサーですが、様子が変わります。

中央へと密集したかと思うと、そのまま肩身が狭そうに集団で歩き出しました。

そして地面へと倒れ込み…苦しい様子でもがいているではありませんか。

これは歌詞の内容に合わせた演出なのでしょう。

様々な悩みや弱みが吐露される場面です。

強がるだけでなく弱みも受け入れるのが、この楽曲のテーマなのだと思います。

赤髪を取り払うとそこには

美しい素顔が露わに

密集したダンサーたちは、顔を隠していた赤髪を取り払いました。

そして露わになった素顔。

全員が活き活きとした表情を浮かべていますね

メイクもかなり薄くてすっぴんを連想させます。

全員女性かと思っていたのですが、男性の姿も見受けられることに驚きです。

男性のパンストと「ババシャツ」の姿はそうそう見れないですね。

女性に限らず様々なジェンダーに向けて歌っているのかもしれません。

個人から集団でのダンスに

赤髪の時は、全てのダンサーが各々自由にダンスを繰り広げている印象でした。

でも、最後は違います。

赤髪を取り払ってからのダンスは集団での動きに見えるのです。

ここからは「共感」や「仲間意識」が連想できます

同じ悩みを抱えた者たちが団結しているのかもしれません。

明日も頑張って生きていこう。

そんな気持ちにさせてくれる展開ですね。

セリフ部分の歌詞を抜粋

NakamuraEmi【ばけもの】MVを徹底解説!奇抜なファッションはまさに化け物?これが女の悩み!の画像

ダンサーの動きや見た目が変わるシーンでのセリフ。

ここには女性の本音が盛り込まれている印象を受けます。

楽曲の核ともいえるこのセリフ部分の歌詞を見てみましょう。

「20代終わりだどうしよー」
と騒いでた頃が懐かしい
レディの嗜み 恥じらい
様になってきた最近だけど
玄関開けてなだれ込む
ヒール カバンも放り出し
下着 ヘアゴム外したら
解放された気がして
Tシャツズボンに入れて寝たいし
野菜よりお肉が食べたい
肌荒れ隠して余計に荒れて
「だって」つって大泣きしたい

出典: ばけもの/作詞:NakamuraEmi,カワムラヒロシ 作曲:NakamuraEmi,カワムラヒロシ

30代くらいの女性が主人公であることが分かりますね。

社会人生活にも慣れて活躍しているのでしょう。

でも、家に帰ると途端に疲れや弱音が溢れだしてしまう…。

頑張って強く生きている姿が伝わってくる内容です

女を生き抜くために
弱さを丸めて捨てたけど
残念ながらその弱さ
私らしさでもありました
顔も髪も怠けてさ
チョコもコーヒーも両手にさ
明日もちょっと頑張ってみますか
やっとお風呂で流せた気がする

出典: ばけもの/作詞:NakamuraEmi,カワムラヒロシ 作曲:NakamuraEmi,カワムラヒロシ