同じクラスで
顔を合わせる度
ぎこちなくなる
私たち
長かった冬
雲たちは
遠ざかり
太陽が射す

出典: 春のメロディー/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ

冬の間。主人公と彼の関係はかなりぎくしゃくしたものだったようです。

教室で出会っても目をそらしたり、避けてしまったり。

普通に会話することさえままならない程だったのでしょう。

寒さのしみる季節は、まさにそんな二人の関係を表すのに相応しい言葉なのですね。

歌詞はそんな状況に光が当たる様子を描いています。

まもなくやってくる春。

それは凍える冬の終わりを予感させる希望なのです。

凍っていた心

雪と誤解は
いつかとけてく
ハート 顔を見せる

出典: 春のメロディー/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ

冬の間に積もった雪が暖かな太陽に溶かされていくように、二人の間にあった問題も解決へと向かう

歌詞はその希望を表しています。

心を閉ざしていた固く分厚い氷がなくなれば、現れるのは素直な気持ちです。

彼と一緒に過ごした時間を取り戻したい。主人公の本心はそう願っています。

再び彼と向き合って、その心をきちんと伝える。

それができたなら、きっと恋は再び熱を取り戻すはずです。

未来への希望 

春のメロディー
どこからだろう
誰もしあわせになる

夢の花
咲き乱れる
私たちの未来

出典: 春のメロディー/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ

どこからともなくきこえてくる春の予感に主人公は耳を澄ませます。

命を芽吹かせ、花を咲かせる太陽の日差し。

誰もが夢を叶えられるような、素晴らしい未来への希望の象徴です。

来る春が、そんな希望で満ちたものであるように。

歌詞からはそんな主人公の期待が伝わります。

主人公の願う幸せは、彼との恋がうまくいくことです。

春がくればその幸せが叶う。叶ってほしいと主人公は望んでいるのです。

あの日の記憶

冬の傷跡

春のメロディー
聴こえて来た
そっと歌いたくなる
気持ち
瞼 閉じて
思い出すのよ
泣いたあの夜
雪が降り始めて
私は傘もささず
濡れて
愛に凍えながら
1人 帰ったことを…
今は懐かしい涙

出典: 春のメロディー/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ

最後のサビでは歌を通して描かれていた春への期待を感じる心と共に、悲しみの背景が明かされます。

二人の関係がこじれてしまったきっかけ。

それは凍えるような冬の出来事でした。

その日、二人はいつものように一緒に時間を過ごすはずだったのでしょう。

ですが、ふとしたことから生じた出来事が二人をすれ違わせてしまったのです。

歌詞に誤解と表れていたことから、本当は二人の思いが通じ合っていることが窺えます。

お互いのことを思い合い、好きだという感情は変わってなどいません。

ですが主人公達にそれを知る由はなかったのです。

互いに裏切られたと勘違いしてしまったのでしょう。

心も身体も凍えさせて、本当ならば二人で歩くはずの道を一人歩くことになった主人公。

悲しみに暮れる心に呼応するように、冷たい雪が積もってゆく。

そんなあの日の光景、流した涙の記憶が閉じた主人公の瞼に浮かびます。

これだけ大きな心の傷となるのです。

もしかするとクリスマスのような、特別な日の出来事だったのかもしません。

春がくれた希望

歌の最後になって初めて、彼女が抱えていた悲しみの理由が明らかになりました。

それはおそらく、この出来事が主人公自身も思い出したくない記憶だったからでしょう。

春の気候に心が晴れやかに、前向きになれたからこそ、思い出し向き合うことができたのです。

なつかしいという言葉は、過去に心引かれるような前向きな感情を表すものです。

そのことからも、過去の傷をしっかりと受け入れて、振り返れるようになったことが分かります。

主人公が悲しみを乗り越えて、次の季節へ進んで行けることを意味しているのでしょう。

凍える冬の季節はすでに過ぎ去ったのです。

春の希望と、雪解けを思わせる歌詞。

それは二人の関係が修復していくことを暗示しているのではないでしょうか。

二人の未来

暖かくて過ごしやすい気候は新たな出会いの予感を感じさせ、心をうきうきとさせるものです。

「春のメロディー」では巡る季節に主人公たちの関係を重ね合わせていました。

寒さに震える冬は、心がすれ違いぎこちなく凍えた主人公と彼の関係

来る春は、そのわだかまりが解けて、二人が元のように戻れる希望を表しているのです。

春の訪れは彼との思い出を呼び覚まします。

ゆっくりと時間をかけて少しずつ募らせていった、かつての恋のときめきをよみがえらせました。

そして暖かな日差しは冬の間凍り付いていた主人公の心を少しずつ溶かし、心の傷を癒していったのです。

止まっていた二人の時間が動き出し、もう一度恋をやり直せる。

そんな前向きな思いを主人公に芽生えさせたのです。

氷によって隔てられた二人の関係を春の気候は溶かします。

冬の季節に終わりを告げ、再び恋が動き出す希望を胸に。

新学期、主人公は彼ときちんと向き合って話をするのでしょう。

誤解によって生まれた溝は、理解によって埋められます。

二人の心ははじめから一つだったのです。

きっと二人はやり直せるでしょう。

春が芽吹かせた恋は、最後に大きな花を咲かせるのではないでしょうか。