アルバム『HELP EVER HURT NEVER』収録曲

人気作のラストを飾るバラードナンバー

藤井風【帰ろう】歌詞の意味を解釈!誰が待つどこに帰るの?わたしが先に忘れようとしている理由を深読みの画像

令和の時代に突入した最中、突如新星の如く音楽界に現れたアーティスト、藤井風

数多くの名だたるアーティストやシンガーが、今現在最も注目している存在ともいえるでしょう。

まだ20代前半にして、あまりにも卓越した音楽センスとその抜群の歌唱力。

一部の有名なミュージシャンの中には、彼がもし同世代だったら自分は音楽を辞めていたと思う、と。

そこまでの絶賛を言わしめるほどの、稀代の新しい才能を持つアーティストとなっています。

今回ご紹介するのはそんな彼のアルバム『HELP EVER HURT NEVER』より、『帰ろう』

人気作となったこのアルバムの、有終の美を飾るラストナンバーとなる1曲です。

MVも一緒にチェックして

歌詞をチェックする前に、ぜひMVもご覧頂ければと思います。

本作の映像は、これまで多くの名アーティストのMVを手掛けた監督・児玉祐一氏が手掛けたもの。

見終わった後にまるで一本の映画を見終わったかのような、そんな衝撃を受ける映像ともなっています。

大きな荷物を押しながらゆっくりと歩いて行く藤井風。

そんな彼の周りには大人から子ども女性や男性、なかには体の少し不自由な人まで。

様々な人々が、同じ方向に向けて一心にひたすら歩みを進めていきます。

彼らは、そして藤井風は、一体どこに向かって歩いて行くのか

その答えともなる内容が、この曲の歌詞には込められています。

早速そんな本曲の歌詞を、ここから紐解いていきましょう。

早速歌詞を見ていこう

それは初めから決まっていたこと

あなたは夕日に溶けて わたしは夜明に消えて
もう二度と 交わらないのなら それが運命だね

あなたは灯ともして わたしは光もとめて
怖くはない 失うものなどない 最初から何も持ってない

出典: 帰ろう/作詞:藤井風 作曲:藤井風

夕焼けに消えていくあなたと、夜明けに消えていく私。

もしかしたらもう二度と、2人は会うことはないかもしれません。

誰かとの最後の別れは悲しいものだ、というイメージを方がきっと多いことでしょう。

ですが、それらは決して悲しむべきものではない、という事をこの曲では歌っています。

古来より日本には、諸行無常という言葉がありますね。

全ての者はみな移ろいゆく。それが当たり前のことで、誰もそれを止めることなどできない。

最初からいつか終わりが来る事はわかっているし、私達の手元には何も残らないことも分かっています。

ですから、誰かとの別れも、それによっていろんなことが失われる恐怖も。

持たなくていいんだよ、と、そうこの曲は歌っているのです。

いつか終わりがくる私たちにできることは

それじゃ それじゃ またね 少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない
それじゃ それじゃ まるで 全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

出典: 帰ろう/作詞:藤井風 作曲:藤井風

この曲を聴く皆さんも、きっとこれまでに様々な人々との別れを経験したことでしょう。

環境の変化や、大事な人とによって袂を分かたれた経験もきっと少なからずあるはずです。

別れは絶対にいつか来るもの、だからそれは悲しむべきものではない、といわれても。

なかなかそんなふうに思う事は出来ないですよね。

いつか来る別れが辛いからといって、私達は誰にも関わらず生きていく事はできません。

それならば今関わっている人々と過ごす時間を、より一層大切に思いながら過ごす

私達ができるのは、きっとただそれだけです。

たくさんの時間を過ごし、幸せで楽しかったり、時には共に悲しみや辛さを分かち合った思い出を。

忘れずに抱えながら、その人と別れた後の長い時間を私達は生きていくのです。

いつか終わるからこそ、今すべき事とは

ああ 全て忘れて帰ろう
ああ 全て流して帰ろう
あの傷は疼けど この渇き癒えねど
もうどうでもいいの 吹き飛ばそう

出典: 帰ろう/作詞:藤井風 作曲:藤井風

古くから宗教や哲学では、人は死んだらどこへ行くのかという事がこれまで何度も考えられてきました。

一説によると、私達人間の魂は元々天から来たもので、死ぬということは天へ帰ること

そんな考え方も、多くの人が支持している仮説の1つでもあります。

どんなに嬉しいことがあっても、幸せなことがあっても。

逆に、どんなに辛いことがあっても、どんなに激しい憎しみを抱いたとしても。

その喜びも苦しみも、決して永遠のものではありません

良いことも悪いことも、全てが一時的な、本当にたった一瞬の出来事

だからこそ自分を雁字搦めに捕える感情に悩んだり、ましてやそれで我が身を削ったり傷付けたり。

そんなことをする必要は、一切ないのです。

さわやかな風と帰ろう
やさしく降る雨と帰ろう
憎みあいの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に 忘れよう

出典: 帰ろう/作詞:藤井風 作曲:藤井風