散ってゆく恋の花びらは……

恋の花びらは 散ってゆくでしょう
新しい恋の花を
咲かせるためです

出典: 恋ノ花/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ

いわゆる「頭サビ」と呼ばれる形式で、冒頭からサビが歌われています。

今咲き誇る「恋の花」は散っていくようです。

それは、新しい相手と新たに恋の花を咲かせるためなのでしょうか?

それとも同じ相手との間に、もっと大輪の艶やかな花を咲かせるために?

このわずかな言葉から、様々なことが想像できてしまいますね。

もう少し読み進めてみましょう。

疲れた心を癒す一日が終わる

空を紅く染めた
夕日が綺麗な今日は
恋に疲れていた
心を癒す日でした

出典: 恋ノ花/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ

今の恋は、彼女の心を疲れさせているようですね。

夕日が綺麗なのは、その日がずっと美しい晴天だったからでしょう。

都会の喧騒(けんそう)から離れ、誰とも話すことなくひとり海辺で過ごした一日?

相手のことを忘れるほど仕事や勉強に没頭し、ふと見上げた青空に心を癒されたのでしょうか?

そんな一日の締めくくりとして、紅色に染まる空と夕日が彼女の心を芯からいたわってくれます。

確実に変わっていく季節、そして私の心

少しずつ季節が 変わるのを感じてます
私の心にも 風が吹いています

出典: 恋ノ花/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ

風の感触や匂いが、季節の移ろいを教えてくれます。

昨日の風と今日の風はそれほど変わらないようで、でもほんの少し何かが違うのです。

そして彼女の心の中にも、風が吹いている……。

追い風なのか向かい風なのか、私たちには分かりません。

でもきっと彼女には分かっているはず。

移りゆく季節と同じく、いつまでもここに立ち止まっていられないことも。

流れる川の水、そして時間

明日もまた太陽が昇り
川の水を綺麗に照らして
時の流れを
教えてくれます

出典: 恋ノ花/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ

夕日を眺めつつ、明日のことに思いを馳せる彼女。

沈む太陽も、夜が明ければまた必ず昇ってきます。

流れる川の水は絶えることなく、陽射しを浴びて煌めきます。

川の水は一見同じに見えても、決して同じ水ではありません。

前の部分と同じく、ここでも「立ち止まってはいられない」ということを表しているようですね。

恋は愛へと姿を変え成長する

恋の花びらは 散ってゆくでしょう
新しい恋の花を
咲かせるためです
恋の花びらが 愛に変わるなら
花が枯れてもきっと
愛は育つでしょう

出典: 恋ノ花/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ

冒頭のサビの部分が繰り返されます。

その後同じメロディに乗って、新たな言葉が紡ぎだされました。

最初で呈した疑問「新たな相手との恋の花? それとも同じ相手と?」について。

ここでひとつの答えが見えたようです。

どれほど美しい花も、いつかは花びらを散らし枯れていくものです。

今の相手との恋も、花が枯れていくようにいつか終わってしまうでしょう。

時は常に流れ続け、留まることはありません。そして人の心も。

どれほど願っても、以前と全く同じ花を咲かせることはできないのです。

ならば、次の花は新たな相手との間に咲くものになるはず。

でも散った花びらが愛に変わるならば、恋の花は枯れても「愛」が育つだろうと。

もちろんそれは、今まで共に恋の花を咲かせてきた相手との「愛」です。

ひらひらと土に落ちた恋の花びらがそのまま朽ち果ててしまうのか、愛に育つのか。

今の彼女は、それがまだ分からない状態なのではないかと推測します。