門出を歌で見送ります
新しい自分のために
MVのもう1つの主役、1年間を過ごした『教室』の風景に戻りましょう。
自分の机の天板の模様や椅子の座り心地、床の傷も無意識で見ていました。
風に揺れるカーテンをボーっと見ている時間も覚えています。
教室にあるものすべてを忘れられません。
形のある思い出も形が無い思い出も、歌詞の中に取り込んで秦基博さんが教室で歌います。
明日からはここには来ません。
このクラスの生徒として教室に入って、田中先生の話を聞くことはもう出来ないのです。
この後の時間が今日の窓の外のように、いつも輝いている訳ではありません。
悲しい時間や苦しい日々に陥ることもあります。
そんな時は輝いていた窓の風景を思い出してください。
明るい方を見ていつも笑っていたあの日。
あの日の笑顔はこの先に進むための、心の支えとなってくれます。
心に残る歌詞を文字で確認
秦基博さんがシンガーソングライターであることは誰もが知っています。
楽曲は歌も詞もメロディーもすべてが、秦基博さんの手によるスペシャルメイドです。
中でも歌詞はアンソロジーを作り出す言葉選びに特徴があります。
難しい単語は使わず、柔らかな響きで伝える思い。
この後は歌詞を文字でご紹介します。
文字で読む「仰げば青空」で、もう一度特別な時間を過ごすことが…きっと出来るはず。
2人がいる風景を歌詞に…
夢は叶うと信じて
明日を待つ淡い光
振り返った影
君だけに教えた
あの夢に いつか きっと たどり着くよ
仰げば青空
放つ願い どこへでもいけるんだ
出典: 仰げば青空/作詞:秦基博 作曲:秦基博
ここでは大勢で過ごすシーンではなく、2人だけで話す様子が歌詞になっています。
並んで座る2人に迫る別れの日。2人を包むのは柔らかな空気と光だけです。
前を向いたままで、君に伝えた自分が望んでいること。
横で聞いていた君だけに聞いて欲しい、自分で決めた希望です。
望みが手にできるのは遠い将来になるかもしれません。
それでも今はきっと望み通りになることを信じています。
その場には、今横にいる君も一緒にいることだって信じられるのです。
卒業後の寂しさや不安を感じながら、希望を決して否定しないのは青春だからこそ。
2人の未来を描くように広がる空の色も青。
希望を忘れないことが未来を広げてくれる…秦基博さんからの送辞が歌詞になりました。
別れの言葉は要らない…
またきっと会えるから…
さよならはいらない
つながってる 手と手 ほどけても 今
新しい日々に 舞う花びら
僕ら 風の向こうだけ 見つめる
出典: 仰げば青空/作詞:秦基博 作曲:秦基博
秦基博さんが『卒業』という場面に相応しい言葉を選び出しました。
この教室で過ごす時間は今日で終わります。
でも一緒にここで過ごした思い出は無くなりません。
ぶつけ合うようにして笑ったことや悔しくて泣いたこと、すべて心に残されています。
冬の寒さに耐えて咲いた桜の様に新しい春を迎えました。
この後に何が起こるかは予想ができません。それでもこの教室から旅立ちます。
独り辛い時間にいる時は教室での時間を思い出してください。
決して独りではありません、あの日から心はズッとつながっています。
無駄ではない積み上げた日々
さよならは言わない
つないできた 手と手が 紡いでく未来
歩き出す頬に 散る花びら
僕ら 風の向こうへと 旅立つ
出典: 仰げば青空/作詞:秦基博 作曲:秦基博
秦基博さんの卒業生へのはなむけの言葉は終わりを迎えます。
一見すると同じ歌詞をリフレインしているように見えますが、大切な違いを見逃さないでください。
先ほどは卒業後も途切れない心を歌詞にしていました。ここでは今日の日も過去にしています。
つながっていた手が指差すのはこの先に進む道。
積み上げてきたものはすべて思い出という箱に入れました。
いつも持ち運べる箱にある思い出は時に自分に力を与え、背中を押してくれます。
頬の涙を隠すように桜の花びらが通り過ぎました。
新しい世界への一歩を踏み出す時はもうそこまで来ています。
皆が希望を目指してスタートラインに立ちました。行き先は別々だけど心は一つです。
旅立ちの日に『さよなら』の言葉は似合いません。
また会えるから…また会おうねと手を振って飛び立ちます。