打ち寄せる波の音のように淡い恋は醒めないで欲しいと願いたくなるような幸せで儚い幻のような記憶です。
このままの関係を続けた先に何があるのかわからず、主人公はただ終わりに向かって進んでいるだけかもしれないという切ない結末を思い浮かべます。
そこで、渚のキラキラと波が混じり合う景色に主人公はこんな願いをかけます。
別々に流れている川も流れて行くと海にたどり着いて合流するように、二人の夢が混じり合って、ずっと一緒にいられたらいいという願い。
「輝いて」というのは二人で一緒にいられる輝く未来があればいいという主人公の切望なのです。
しかし、一緒にいられる今を「幻」と表現していることからわかるように、どこかでそんな未来はないとわかっています。
「渚」はずっと一緒にいられないということがわかっていても願わずにいられない切ない初恋の歌なのです。
「渚」がCMで使われる訳
時が経っても色褪せない、一度聞くと耳から離れない反復のフレーズを使ったメロディー。
そして、いつか来る別れを予感させながらも、ずっと一緒にいたいという切ない恋心をキラキラとした海の景色に重ねて歌った歌詞は、恋をテーマにしたCMにぴったりです。
ポッキーのCMに「渚」が起用された理由はそのためでしょう。
では、フォレスターのCMはどうでしょうか。
家族の幸せな時間を朝焼けに輝く波に寄せて
子供はどんどん成長して行くので、二度と戻ってこない瞬間を記憶にとどめようと写真を撮る親は多いと思います。
夫のサーフィンに子供と一緒に付き合った帰り、バックミラー越しに子供のように後部座席で眠る父子の姿を愛おしそうに見る母親の心情はまさにこの、二度と戻ってこない瞬間を尊く思う気持ちでしょう。
家族みんなで笑った海での思い出を愛おしく思う母親の心情に「渚」の歌詞はしっくりきますね。
このようにいろんなシチュエーションを少し切なく、ドラマチックな雰囲気にしてくれるのが、スピッツの「渚」がCMソングとして繰り返し使われている理由でしょう。
いつかまたCMソングとして使われることがあったら、今度はどんなシチュエーションで使われるのか楽しみですね。
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