偶然が運んだ奇跡
出逢い 涙 愛 奇跡
君がいるこの時代に
命 夢 愛は永遠に生まれ変わっても
出典: Loves/作詞:林保徳 作曲:林保徳
現世に不当な労苦を強いられた人には輝く来世が待っている。
オヴェスはエルにそんな希望を込めます。
エルにはたくさんの出逢いがありましたが、誰もが皆いい人という訳にはいかなかった人生です。
それでも僕と君は同じ時代に巡り会えたことを喜ぼう。
実際に私たちの生命はそれ自体で奇跡のようなものです。
生きていることは当たり前すぎることですが、その中で出逢う人は皆が偶然の導きですれ違います。
出逢った人との縁を大切に生きなければいけない理由がここにあるのです。
すべてが偶然という奇跡に恵まれたのですから私たちは幸福でしょう。
出逢いに悦びの涙を流し、愛というこの世で一番価値あるものを育む。
奇跡はこうした巡り合いの中で花を開かせます。
生命は私たちが生きる最低の条件のものですが、これがないと人生はありません。
その人生の中で夢を持って生きることで私たちは明日を生きる術を識るようになるのです。
オヴェスとエルの愛は永遠のものになると歌われます。
物語の中のお話ではありますが、私たちも身近なパートナーと約束して結ばれたことを想い返しましょう。
愛の力で
エルからオヴェスへ贈る言葉
愛…それがあなただったの
やっと気がついたよ
最初からここにあったのね 行かないで
出典: Loves/作詞:林保徳 作曲:林保徳
ここからはエルからオヴェスに贈る言葉になります。
様々な愛に触れてきて痛い目にも遭ってきたエル。
やっと真実の愛にたどり着いた先でオヴェスが息を引き取ろうとしています。
やっと愛の所在に気付いたというのに過酷な現実が待ち受けていました。
愛というものは心に潜めておくものではなく対象となる相手に捧げるものです。
エルはようやく自分の愛を心から贈るべき人に出逢ったのだと実感します。
Acid Black Cherryのアルバム「L-エル」の主題は愛です。
エルの長い旅路の果てにようやく帰ってきた土地に真実の愛がありました。
最初からそのことに気付いていたならば傷つくこともなく平穏に暮らしてゆけたでしょう。
しかしそうしたことは後になってから気付くものです。
オヴェスが息を引き取る前にエルはこのことを確認することができました。
遅すぎる愛の承認ですが、再会することなく伝えることもできないよりはマシかもしれません。
意識が薄れかかるオヴェスに懸命に声をかけるエル。
しかし無情にも運命の時間はもうすぐ訪れます。
旅立つ人に伝える言葉
私たちは愛する人が息を引き取る前に何を伝えることができるでしょうか。
これまでの交流への感謝の言葉。
「愛しているよ」の一言。
永遠の別れが辛すぎてそのくらいの言葉しか見当たらないでしょう。
しかし天に召される人にとってはそうした切実な言葉こそが餞(はなむけ)になるはずです。
死というものの実相を私たちは知りません。
死んだ後にどうなるのかなど誰も本当のことなど分からないのです。
この先どうなるのか分からないけれどもとりあえずこの世界からはドロップしてしまいます。
好意を寄せていた人からの「愛しているよ」の一言で安心して旅立つことができる。
そう信じて私たちは懸命に声をかけます。
人間存在は宇宙の膨大な歴史の中では砂塵よりも細かく小さなものです。
それでもひとりひとりの人生には膨大な出逢いと愛があります。
相手が旅立つ前に再確認するように私たちは「愛しているよ」と語りかけるのです。
儚くて消え入りそうな心もとない仕草かもしれません。
しかし愛というもの自体はどこまでも広がってゆく声質を持っています。
その人が亡くなった後も私たちは彼・彼女を愛し続けるのです。
愛は次元や時空を超える力さえ持っています。
そうした大きな可能性のあるものが私たちひとりひとりの心に宿っていることを祝福しましょう。
最優先事項は何か
出逢い 涙 愛 奇跡
君がいるこの時代に
命 夢 愛は永遠に生まれ変わっても
決して離さないで
出典: Loves/作詞:林保徳 作曲:林保徳
再びオヴェスからエルへの言葉になります。
やっと再会できたのだからもうふたり離れずにいよう。
実際には死というタイムリミットが背後に迫っています。
この先、遺されるエルへまだまだ愛と希望を与えようとするオヴェスの気持ちが素敵でしょう。
人間存在にとって愛ほど高い優先事項のものはありません。
誰しもが愛について日頃から考え続けています。
胸のうちの愛を手渡せる相手がいてくれることは奇跡に近い事柄でしょう。
私たちはそうした相手がいてくれることを頼りに日々を生きることができるのです。
今は息を引き取る間際のオヴェスにとって明日はもうありません。
しかしそんなときにでも最優先事項になっているのがエルへの愛の告白であることをよく胸に刻みたいです。
薄れゆく意識の中で
愛する人を視界にとどめておく
エル そばにおいで
もっと顔を見せて
君はやっぱりキレイだね
エル ほら笑って
君のしわだって
すべてが愛おしいんだよ すべてが愛おしいんだよ
出典: Loves/作詞:林保徳 作曲:林保徳