夢うつつなままで
迎えに来てほしい、と
敬具で締めて君に送った

出典: N氏について/作詞:チャム 作曲:渡辺壮亮

楽曲「N氏について」の歌詞のラストです。

拝啓で始まった手紙が敬具で終わります。

夢とうつつの境目で会いたいとチャムはN氏に恋心を贈ります。

チャムという女性は非常に文才豊かでシュールな歌詞を紡ぎます

それは一見して難解です。

それでもそのベールを少し剥がしてみるとあどけない恋心がうかがえます

チャムという女性の少女性

シュールである歌詞もどこか少女性を帯びています。

まだまだ成長途上の少女が鼻歌を軽く口ずさんでいるような印象がこの歌詞から伝わってきます

そこに厳密な意味を求めすぎると野暮になるかもしれませんね。

「N氏について」の歌詞の本質は恋心

恋心とはときにあやふやで、しかし胸の底から消え去らないものですからね。

相反するような歌詞が紡がれるのも恋心の不思議ゆえかもしれません

話題のMV「N氏について」を観てみましょう

「N氏について」はMVもオリジナリティ溢れるもので必見です。

YouTubeで公式配信されていますので、どうぞ御覧ください

ガングロ少女と嘘とカメレオン

MVは過去作「されど奇術師は賽を振る」と同じく坪井隆寛監督により作られました。

懐かしい「ガングロ少女」がガラケーで誰かと通話しているところから始まります。

そのガングロ少女が何かの拍子に転んだ際に現代へタイムスリップしてきます。

嘘とカメレオンの激しい演奏が始まります

計算され尽くしたビジュアル

演奏は嘘とカメレオンの楽曲の大半を作曲している渡辺壮亮によるファンキーなリフで幕開けです。

菅野悠太とのツインギター編成で絡みつくようにギター・リフを繰り出し呼応します。

メンバー全員が激しいアクションで応答!

男性メンバーは全員黒いシャツ着用、唯一の女性メンバーチャムだけが全身白装束です。

そこにピンクの派手な柄の服を着たガングロ少女が割って入ります。

ビジュアル的に計算されつくされた衣装ですね

シュールなシーンと激しい演奏シーンが交錯する演出

メンバーがコンニャクやアボカドほか、正体不明の物体をスマホのように扱うシーンがインサートされます。

さらに渡辺壮亮のステージ・ドリンクとして有名なコーラ瓶やら様々なイメージがインサート!

非常にシュールな演出ですね。

次いでSHURE社のマイクに打ち付けるように歌詞を口にするチャムのボーカルに心を奪われざるをえません

演奏するメンバーを写すカットは短く激しく移り変わります。

五弦ベースを縦横無尽に駆使する渋江アサヒスネアのロールが気持ちいいドラムの青山拓心も目を惹きますね

ギターの2人はともにトレード・マークのテレキャスターを演奏!

カッティングに向いたエレキ・ギターですので、ザクザクとした音質が耳を刺激するのです。

渡辺壮亮が巨躯を揺らしてテレキャスターを激しくかき鳴らします

一方で菅野悠太はシューゲイザーのギタリストのように確実にカッティングするのが対照的です

ライブが観たくなる!

メンバー全員が卓越した歌唱力と演奏力をフルに魅せつけます。

彼らがまだまだ若手であることを考えると、とんでもない演奏力です

ライブを生で観たくなるような気持ちにさせられますね。

街角でのショットにも注目!

ガングロ少女がスタジオを飛び出して、街角でガラケーに夢中な姿が写ります。

それを街で見るメンバーも何やら会話を交わしますが、「N氏について」の歌詞のようにシュールな会話です。

どうやらガングロ少女が再び転ぶのを期待しているようです。

モノトーンを基調としたスタジオ風景から、カラフルな街角に降り立ったときの色使いの対比が見事です