上野大樹【ラブソング】
上野大樹さんの【ラブソング】は2020年3月にYouTubeにて初めて公開されました。
その約1年後の2021年2月14日にCDリリースされています。
一見恋人同士の歌のように思えるタイトルとは裏腹に、シリアスな内容が紡がれいる楽曲です。
上野さんはこの楽曲について「たくさんの人がタイトルの意味を考えて欲しい」と語っています。
学生時代に挫折や苦しい経験をした過去を持つ上野さんだからこそ描けたものでしょう。
周りには話せない悩みや、生きづらさを感じている人はたくさんいます。
死にたいわけじゃなくても時々どうしようもなく「消えたい」と思ってしまうことがありませんか?
君はもうこの世にはいない
ひとりでいることに耐えられなかった
あの子は電車に飛び込んで
この世をそっと去ってしまった
ひとりきりがきっと寂しくて
無数の星の中に飛び込んだ
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
あの子がこの世から旅立って行ってしまったということが分かる歌詞から始まります。
あの子は周りと上手くなじめなくてひとりになることが多かったのでしょう。
もしかしたら長い間孤独と闘っていたのかもしれません。
「1人の方が気楽で好きだ」という人はいます。
しかし自ら1人になることと、周りから1人にさせられるのとでは訳が違います。
歩み寄ろうとしたけどダメだった、辛かったという事情があったのかもしれません。
1人で寂しさを押し殺すために見上げた星空に惹かれて、「星になれたら」と思ったのでしょうか。
居る世界が変わった君はよく笑うようになった
あの子はいつも夢の中で
僕の前を横切る
楽しそうに歌っている
あの子を見るために目を閉じる
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
新しい世界へと旅立っていった君は、こっちに居た時よりも楽しそうでよく笑っています。
笑顔が見られて良かったと安心しているような気持ちが伝わります。
大切に想っている人の苦しむ姿や泣いている顔は出来れば見たくありません。
僕はずっとあの子のことが気になって仕方なかったのでしょう。
「泣いていないかな」「辛い思いをしていないかな」と君のことを考えているのです。
しかしあの子はもう僕とは違う世界を生きています。
あの子に会うときは僕は目を閉じて、姿を思い浮かべるほかないのです。
隔たりのない世界へ
見える世界を変えたかった
あの子はベランダを飛び降りて
あの世にそのまま飛び立った
この世がきっと狭すぎて
大きな宇宙めがけて飛び込んだ
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
あの子がずっと息苦しい想いをしていたということが3行目の歌詞から読み取ることが出来るでしょう。
若い時ほど自分の世界は小さく狭く感じてしまうものです。
いまいる環境を変えたいと思っても自分にはどうにかする力がありません。
親や先生から「もう少し頑張れ」と言われてしまったらもう逃げ場を失ってしまうでしょう。
あの子が当時いた状況を抜け出すには、それ以外に方法が無かったのかもしれません。
君の笑った顔を見ていたかった
あの子はいつも雲に紛れて
僕の視界に顔を出す
悪戯げに笑うから
あの子を見るために空を見る
出典: ラブソング/作詞:上野大樹 作曲:上野大樹
あの子にはこんな風に笑う一面もあったんだということを伝えているのではないでしょうか。
いつも息苦しく、生きづらそうにしていたあの子からは笑顔もだんだんと少なくなっていたのです。
笑顔を見せてくれても作り笑いのような、心の底から笑っているようには見えませんでした。
あの子はずっと何かを胸に抱えて苦しんでいたのかもしれません。
本当は少しイタズラでお茶目な部分も持っているあの子。
楽しいことが好きで、屈託のない笑顔を見せてくれるのです。
あの子の本当の姿は愛らしくて笑顔の絶えない子なんだということが読み取れるでしょう。