backnumber『ハッピーエンド』の切なすぎる歌詞の意味とはの画像

青いまま枯れてゆく
あなたを好きなままで消えてゆく
私みたいと手に取って
奥にあった想いと一緒に握りつぶしたの
大丈夫 大丈夫

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

ここから楽曲としても盛り上がりをみせます。ただのバラードであれば、しっとりさせるだけなのかもしれません。

しかし、この文字数をエモーショナルに感じさせる『ハッピーエンド』別れ際の心に秘めた激情が、曲に表れていると部分でもあると思います。

感情は膨れ上がるばかりで、抑えよう抑えようと自分を制しているのが歌詞にも表れていますね。

このフレーズの1番適切で1番恐ろしくもあるのは「握りつぶした」という言葉ではないでしょうか。

つまり表向きは「大丈夫」などといいつつ、裏では「ふざけやがって!」と今にも暴れたい気持ちを必死に押さえているのです。

ともすればそれはある種の破壊衝動といえるかもしれないもので、思いが強ければ強いほど激情は増していきます。

表向きはとても和やかというか大人しい感じの優しい言葉ばかりですが、裏はとてつもなく物騒です。

下手をすればここから主人公を振った人が逆恨みされてもおかしくないことが示されています。

過去と現在の葛藤

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どれだけ離れていても どんなに会えなくても
気持ちが変わらないから ここにいるのに

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

今すぐに抱きしめて
私がいれば 何もいらないと
それだけ言ってキスをして
なんてね 嘘だよ ごめんね

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

こんな時思い出す事じゃないとは 思うんだけど
一人にしないよって あれは実は嬉しかったよ
あなたが勇気を出して 初めて電話をくれた
あの夜の私と 何が違うんだろう

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

この三節には、現在、過去、現在の感情が揺さぶられているのがわかりますね。本当は伝えたい感情、二人だけの想い出。

”こんな時に思い出す事じゃないとは 思うんだけど”と前置きされているということは、この二人にとっては、日常ではない”何か”のある時だったのかもしれません。

でも、この”私”にとっては大切な人との想い出は、相手にとって些細なコトであったかもしれなくても幸せだったことがわかりますね。

そして今の想い、私にとっては、傍にいることが叶わない。だけど今、どんなことがあっても貴方の傍にいたいからいるのに。そんな強がりな”私”の想いが読み取れますね。

特に最初に自分の願いをいっておいてそれをすぐさま「嘘だよ」で否定してしまう所が何ともいえません。

本当は今すぐにでも復縁してやり直したい気持ちなのに、それを「」と偽りの笑顔で否定しなければならないのです。

その後の過去の出来事を描いた部分の「あれは実は嬉しかったよ」というフレーズこそが真実ではないでしょうか。

でもその気持ちを素直に表わすことが出来ず、ついつい強がってしまう不器用に当たってしまうのです。

主人公はきっと内面は凄くピュアなロマンチストで、いわゆる「ツンデレ」という奴ではないでしょうか。

表面上強がっていても奥底にある純粋な願いが現実に叶って欲しいなんてとんでもないことを考えています。

つまり思考と行動、顕在意識と潜在意識が見事なまでに不一致なのです。

悲観的な主人公と楽観的な相手

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青いまま 枯れてゆく
あなたを好きなままで消えてゆく
私をずっと覚えていて
なんてね 嘘だよ 元気でいてね

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

泣かない 私に少しほっとした顔のあなた
相変わらず暢気ね そこも大好きよ

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

ドラマのワンシーンなのかなって思うくらい、二人の情景が目に浮かぶ二節ですね。別れを告げる”私”と私の表情に安堵している貴方。

二人の行く末には、二人一緒にいることができないのか、と聴いているほうが切なくなってしまいます。

実はここで主人公がずっと恋していた相手がどのような人物なのかが具体的な形で説明されています。

暢気」という言葉が相手の全てをよく表わしており、別れだというのに主人公が泣かないことに安堵しているのです。

ここから痛烈なまでに思い詰める悲観的な主人公とそんな主人公の奥底に気付きもしない楽観的な相手の関係性が表現されています。

そしてまた、主人公が相手のそういう楽観的な人間性にこそ惚れていたのだということも表現されているのです。

正しく「」と「」の関係であり、鮮やかな白と黒のコントラストが描かれているのではないでしょうか。

最後まで恋に不器用だった2人

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気が付けば横にいて
別に君のままでいいのになんて
勝手に涙を拭いたくせに
見える全部聴こえるすべて
色付けたくせに

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

青いまま 枯れてゆく
あなたを好きなままで消えてゆく
私みたいと手に取って
奥にあった想いと一緒に握り潰したの
大丈夫 大丈夫

出典: http://www.uta-net.com/song/216847/

この二節には”私”の感情の波が激しく揺れているのがわかりますね。「~くせに」と続くのは、きっと貴方に対して本当に言いたいことが言えていない現れだと思います。

でも、本当のことを言えない自分が悪いのも彼女は判っているから、貴方を嫌いになっている言葉は歌詞にはありません。思い出すのは貴方を好きだったという気持ちだけ……。

そして自分に繰り返し言い聞かせています。
”大丈夫 大丈夫”と。