Dollyの意味とは?
3つの意味
曲名にもなっている『Dolly』の意味はいくつかあります。
1つ目は人形です。Dollと言えばなじみのある人もいるかもしれません。Dollyは人形をかわいらしく呼ぶ時の言葉になります。
日本語でたとえるなら「お人形さん」や「お人形ちゃん」などになるでしょうか。
2つ目の意味は手押し車です。
これは赤ちゃんが使うものではなく、空港や駅で重い荷物を運ぶ時に使う台車を意味します。
3つ目の意味は、カメラなどを支える台つまり三脚台です。
さて、ではこの曲名に込められている意味はどれなのでしょうか。その答えは三脚台だと言われています。
浮かび上がる情景
詳しくは後述しますが、この曲におけるDollyはカメラの暗喩と捉えるのがわかりやすいかもしれません。
Dollyとカメラが三脚台という意味を通じて結びつくとすれば、曲名が表現したいことが何となく見えてくる気がします。
すなわち、何かの映像や姿を切り取りたいという意思です。
カメラは写真を撮るための道具ですから、三脚台→カメラ→写真という連想をすることが可能でしょう。
そして写真は事実をありのままに映してくれるものですから、見せたい何かをダイレクトに伝えることができます。
ここまで考えると、あるひとつの仮説を立てることができるでしょう。
曲名のDollyが意味するのは、誰かに写真に写した何かを見せたがっているというシチュエーションではないかと考えられます。
『Dolly』のテーマは何?歌詞からわかるやわらかな世界観
恋心を紐解く
『Dolly』のテーマを考えるためには、歌の中にいる登場人物たちについて考える必要があります。
『Dolly』に登場しているのは、まず主人公の「僕」です。
そしてもう1人、どうやら「僕」がとても大切にそしていとおしく思っている相手が登場しています。
このことから、曲のテーマに関しては簡単にまとめると恋愛感情となるでしょう。
そう考えると、先述した写真を見せたがっているというシチュエーションも、何の写真なのか想像することができます。
それは自分(この場合は「僕」)のもっとも綺麗な姿を映した写真です。
恋愛では多くの人が経験する感情のひとつに「自分の一番いいところを見てほしい」というものがあるかと思います。
この曲には、全体としてそういった恋愛における人間の感情を紐解いていく意味が込められているのではないでしょうか。
曖昧でやわらかな世界観
ちなみに、もう1人の登場人物の性別ですが、これは「僕」との恋愛的要素が見えるので普通に考えれば女性です。
実際にMVでは男女が描かれていますから、その解釈も間違いではないでしょう。
しかし、歌詞をよく見ると相手を女性だと特定する言葉(「彼女」など)が登場していません。
もっと言うのなら「僕」の性別も男性だとはっきり分かる言葉は含まれていないのです。
そのため、登場人物たちの性別はよく分からないというのが正確でしょう。
もしかしたら「僕」はいわゆる僕っ娘かもしれませんし、想像の仕方によってはLGBTの存在を投影することも不可能ではない形に仕上げられています。
この境界線があいまいな世界観が、いっそうこの歌が持つやわらかな雰囲気を引き立てているのかもしれません。
登場人物は何をしている?1番の歌詞に込められた感情
膨れ上がる情熱
タリーランプは灯ってないから 秘密の話をしよう
僕らずっとひとり 霞んだふたり
描けるのは此処じゃないな
悲しくても飾っていたいから
真夜中をねえどうしよう
夜を負ったドーリー 望んだ通り
奇麗なままを切り取って
淑やかな熱を持つ 瞳の奥の過去でさえ 受け止めてみたいのにな
出典: Dolly/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
歌詞の最初に出て来るタリーランプとは、モニタやテレビカメラといった機材に取り付けられた赤・緑の表示灯のことです。
これが灯っていないということは「こちらを見ている人は誰もいない」という意味でしょう。だから秘密の話を持ち掛けているのです。
次の歌詞で、この歌の世界には2人の人間がいることがわかります。
そして、どうやらその2人は心情的に孤独感を抱えており、お互いの存在がかすんでしまっていることが伺えます。
そして、上から6番目の行でいよいよ登場するのが曲名にもなっている「ドーリー」です。
その後、切り取るという歌詞に続くことからこれは情景を切り取る道具の暗喩であると考えることもできます。
先に登場した歌詞から、歌の中の時計は真夜中であり、この時間をどう使おうかと持ち掛けている様子を想像することが可能です。
ここから、歌詞はやや情熱的な色をはらんでいきます。
「相手の過去を受け止めたい」という言葉から主人公の激しくも深い感情を読み取ることができるでしょう。
思い出したんだ 言葉では表せないくらいの景象
酷い鼓動 諭してよ かしましくなってしまう前に 胸に飼っていた 優しさも
欺きたいと思うほど 正しくはあれないよ
それなのに前を向いてみたい
出典: Dolly/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
このサビの歌詞の中にかしましいという言葉が登場しますが、これは心臓の音のことだと考えられます。
つまりこの歌詞が示しているのは心臓がうるさくなる前、すなわち歌の中で主人公が対峙している相手と出会う前のことです。
その頃の主人公には、優しさがあったそうです。
思うに、この優しさとは相手を思って身を引くことではないでしょうか。
次に続く歌詞から考える限り、主人公はその優しさを無視してでも前へ進んでいきたいと思っているのです。
この場合の前とは、相手との未来と考えていいでしょう。