この楽曲に込められた想いとは
上方女優、浪花千栄子の半生を描いた「おちょやん」。
「泣き笑いのエピソード」という曲のタイトルは、「おちょやん」の主人公、千代の人生を表しています。
千代はとても強く、明るい人です。いろんな不幸や悲しみに襲われても、笑顔を忘れません。
そんな千代の物語は、「泣き」のエピソードから始まります。
「笑い」は千代が喜劇女優を目指すエピソードを指しているのでしょう。
辛いことがあったのにそれを乗り越え、みんなを笑顔にする仕事を選んだ千代。
秦基博はインタビューで、千代のその姿に感銘を受けたと語っていました。
どんなに辛いことがあっても、いつかは笑顔になれる日が来る。だから、頑張ろう。
この楽曲には、そんなメッセージが込められていると考えることができます。
悲しみも大事
いつも楽しい事ばかりだったら、どんなにいいでしょうか。
「楽あれば苦あり」という言葉があります。
人生は楽しいことばかりでなく、楽しいことの後には苦しいことも待ち受けているという教えです。
悲しみや苦しみも成長には欠かせません。
苦難を味わうことで、人として大きく成長することができます。
しかしそれらの感情は、ただ苦しいだけです。
太陽だけでいい
オレンジのクレヨンで描いた太陽だけじゃ
まだ何か足りない気がした
涙色したブルー こぼれて ひろがって
ほら いつも通りの空
出典: 泣き笑いのエピソード/作詞:秦基博 作曲:秦基博
真っ白なキャンバスにクレヨンで描かれた太陽。
この太陽は、「喜び」、「嬉しい」、「楽しい」などの感情ではないでしょうか。
苦しみや悲しみはいらない。だから、太陽だけを描いたのだと考えることができます。
これで完璧なはずです。なのに、太陽だけの世界は物足りません。
そこへブルーを足すと、いつも私たちが眺めている光景が広がります。
歌詞の2行目にある「涙色」というワード。このワードから、空は悲しみであることが分かります。
悲しみがあるから、喜びや楽しさを感じることができるんだよ。
この歌詞にはそんなメッセージが込められているのではないでしょうか。
目を背けないで
これは夢じゃない (夢みたい)
傷つけば痛い (嘘じゃない)
どんな今日も愛したいのにな
出典: 泣き笑いのエピソード/作詞:秦基博 作曲:秦基博
嫌なことがあると、これは夢だと思いたくなります。
でも、それらは夢ではありません。現実なのです。傷付くと痛みも感じます。
歌詞の3行目にある「どんな今日も」というフレーズは、現実を受け止めてというメッセージでしょう。
どんなに辛い日があっても、今日という日を大事して欲しい。
目を背けないで受け止めて、そんなメッセージを感じ取ることができます。
明日はやって来る
嫌なことや辛いことがあったとき、もう明日は来ないんじゃないかと感じてしまいます。
このまま世界が終わってしまうような、そんな絶望感に襲われるのです。
こんな苦しい日々が続くなら、明日は来なくていい。
絶望感と同時に、未来への期待も捨てたくなります。
時間は止まってくれない
時が経てば きっと 忘れられるよなんて
まだ とても 信じ切れないけど
涙がかわくまで 待ってられない
だって ほら すぐ 新しい朝
出典: 泣き笑いのエピソード/作詞:秦基博 作曲:秦基博
「時間が解決してくれるよ」。
嫌なことや辛いことがあり悩んでいると、そう声を掛けてくる人がいます。
でも本当にそうなのでしょうか。
歌詞の2行目にあるように、時間が解決してくれるとは思えません。
しかし、時間はどんどん進んでいきます。明日は待ってくれないのです。
時間は常に動いており、私たちの都合は何も考えてくれません。
まだ涙が乾いていないから待ってと声を掛けても届くことはないのです。
ですが、そうして時間が進んでいくことで、嫌なことや辛いことも忘れていくのでしょう。
この歌詞は、辛くても立ち止まっちゃダメだよというメッセージだと考えることができます。
「時間が解決してくれる」という言葉が信じられなくてもいい。
前を進んで歩き出したら、きっとその言葉の意味を理解できるはずだよ。
この歌詞には、そんな意味が込められているのでしょう。