「正しい街」は福岡にあった
椎名林檎の生い立ちと正しい街
椎名林檎は1978年に埼玉県浦和市(現・さいたま市)に生まれます。
そして1990年、11歳の時に父の転勤のため福岡県福岡市へ移り住み、その後高校を中退してフリーターになるまで約7年間をこの福岡の地ですごします。
「正しい街」はこの時期に制作された楽曲で、「正しい街」の「街」とは椎名林檎がすごした福岡市の街のことを描いています。
歌詞の内容から福岡市の早良区~中央区のYahoo!ドーム周辺でしょうか。
また、この曲は当時交際中だった恋人に向けられた曲でもあります。
以上のようなことを頭において歌詞について見ていきましょう。
未来への告白
夢と現実
あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね
不愉快な笑みを向け長い沈黙の後態度を更に悪くしたら
冷たいアスファルトに額を擦らせて期待はずれのあたしを攻めた
出典: https://twitter.com/pls_ss/status/83761482554290176
この「あの日」とはデビューのために上京した日。
倒置法ですね。夢を追いかけて飛び出してしまったけど、結果的に福岡の街と恋人が正しかったという結論から入っています。
福岡の街と恋人のことが大好きで、街を出たくはないし恋人も上京に賛成ではなかったのではないかと思います。
デビューして上京することを伝えた時のこと。「不愉快な」笑みというのは言いにくいことを言ってしまってうまく笑顔が作れなかったことを言っているのでしょう。
「長い沈黙」という言葉から、上京を決意した彼女にかけてあげる言葉が見つからない彼の心情がわかります。
そんな長い沈黙に耐えられず態度を悪くしたら、深く俯いて福岡に残ると期待していたのに行ってしまう彼女を責めた(責められた)。状況が浮かんできますね。
彼はきっとこれからも彼女がそばにいてくれると思っていたのでしょう。
揺れる乙女心
身勝手だけど理解できる心
君が周りを無くした
私はそれを無視した
出典: https://twitter.com/maruneko001/status/865949799564034048
さよならを告げたあの日の唇が一年後
どういう気持ちでいまあたしにキスをしてくれたのかな
出典: https://twitter.com/orange_wordsbot/status/923892381061079041
「君が周りを無くした」というのは恋人の彼が「私」しか見えていない。現実から目を背けているということでしょう。
さらにそれを無視した(無視して上京した)。
とても身勝手な印象です。
自分しか見ていない恋人は女性なら理想とする相手でないでしょうか。
しかし、夢を実現しようとする自分を否定する、現実逃避する彼を無視したくなる彼女の気持ちも理解できます。
上京してから1年後、再会してキスをした。
上京した日に「さよなら」と言ったその唇で、今どんな気持ちでキスしてるの(どういうつもりなの)!?
ちょっと女の怖さを感じる部分です…。
別れても残る罪悪感
真っ赤な嘘
短い嘘を繋げ赤いものに替えて疎外されゆく本音を伏せた
足らない言葉よりも近い距離を好み 理解出来ていたように思うが
出典: https://twitter.com/safefield/status/97317041312243715
君に涙を教えた
私はそれも無視した
出典: https://twitter.com/6Totolo/status/703424894323666945