「君に逢えないから」はアルバム『UNCHANGED』唯一のオリジナル曲
カバー曲に引けを取らぬ名曲
2013年にリリースされたカバーアルバム『UNCHAINED』。
小柳ゆきやMISIAなど錚々たるシンガーの曲をカバーし、urata naoyaのソロシンガーとしての実力の高さを裏付けたアルバムです。
カバー10曲に加えてボーナストラックとして収録されたのが、今回紹介するオリジナル曲「君に逢えないから」。
本人が作詞を担当し、ボーナストラックの位置付けとなっているのが信じられないほどの、魂のこもった歌声が収録されています。
唯一のオリジナル曲を最後に持ってきたのには、彼自身、レコーディングで手応えを感じた上でのことでしょう。
「カバーアルバムのコンセプトだけれど、最後に自分のオリジナル曲を聴いて、アーティスト性を感じてほしい」
そんなurata naoyaの、アーティストとしてのこだわりとプライドが示された作品になっていると思います。
urata naoyaの繊細なハイトーンに心打たれる
「君に逢えないから」では、urata naoyaの女性のような柔らかい声とハイトーンが聴けます。
他のカバー曲を聴いていて驚かされるのが、男性からするとキーがかなり高めの設定であること。
「君に逢えないから」も、その例外ではなく、女性でも原曲キー設定で歌えそうなほどです。
苦しそうな様子を見せず、音程をコントロールして情感豊かに聞かせる彼のボーカルに、AAAを代表するトップアーティストのレベルの凄さを痛感します。
女性のようなハイトーンだったりファルセットを効かせて歌うと、とてもセクシーに感じられ、女性ファンが多いのもうなずけますね☆
「君に逢えないから」はurata naoyaの表現力が光るMV
一部屋で表現される失恋した男心
「君に逢えないから」の舞台は、とあるホテルの一室。
有名アーティストのMVというと、撮影地をいくつも組み合わせたり、派手なセットや役者を使って作るイメージですが、この作品は全く対照的です。
舞台となるのはたった一部屋。
その中でurata naoyaは失恋した主人公を自ら演じ、1人で表現を完結させているのです!
使われているセットや小道具は、ソファとカーテン、マグカップ、紙と筆記用具といったどこにでもあるような代物。
そんな地味な環境下で、urata naoyaの演技力とスケール感のある歌声は強烈な魅力を発しています。
「歌詞を読みながら歌声をもう一度味わいたい」と、リピートして観たくなるMVに仕上がっていますよ♪
それでは「君に逢えないから」のMVを御覧ください。

失恋の未練と歌詞制作の苦悩が描かれる
urata naoyaが曲名を書きつける場面から始まる「君に逢えないから」のMV。
モノクロの色調の中でサビから歌が始まり、MISIAのような壮大なバラードの展開にわくわくさせられますね。
昼間なのにカーテンはほぼ閉められた薄暗い室内の中、Aメロは始まります。
壁にもたれかかってマグカップに入った飲み物を一口、urata naoyaは肩を落としてため息をつきます。
ソファに寝転がったり髪に手をやったりと、現在の状況に「どうしたものか」と悩んでいる様子です。
Bメロになれば、机の上に置かれた紙とペンをぼんやりと眺め、マグカップ片手に室内をうろうろ。
サビでは椅子に腰掛けていよいよ歌詞を書こうとしますが、辛い記憶が強烈に押し寄せたのか、歌詞を書くことができません。
両手を組み合わせてうなだれるばかりです。
2番に入っても、AメロBメロではソファで悶々としたり、外を眺めたりと迷いが見られます。
しかしサビになると心が決まったようで、椅子に座って机に向かい、猛然と歌詞を書き出すように。
苦しみながらも過去を振り返り、時にペン先を空中にさまよわせながら進められていく歌詞制作の過程。
ストーリーと並行して、urata naoya自身のアーティスト活動の様子が伺い知れるシーンともなっています☆
大サビ前のCメロでは、ソファで愛しい人が座っていたはずの場所に手をやり、受け入れられない現実を前にして「なんでなんだ」と再び葛藤シーンに。
歌詞の紙もグシャグシャに丸めてしまい、「こんなの書いたってしょうがない」とヤケな気持ちを表します。
葛藤の末に「サヨナラ」と書きつけて、到頭、自分の未練と決別することができました。
恋をしている最中は楽しいけれど、失恋は互いに心が痛む大変な出来事ですね……。
次に、気になる歌詞を解説していきます!
残酷な彼女の笑顔が最後となる
君にもう逢えないから
涙で滲んだ笑顔を見つめて胸が苦しくて
これから別々の道を二人は歩いていくけど
君の事を忘れない
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
「君」と呼びかけられている彼女は、気丈な性格なのでしょう。
「好きだった人との別れ際は笑顔でありたい」と涙を浮かべながらも口角を上げて、悲しい顔を見せないように必死に頑張ります。
しかし、それを見ている側の彼からすれば、たまったもんではありません。
大好きな彼女が最後の最後まで努力する姿に、心臓を鷲掴みにされるような苦しさを覚えます。
そして、そうさせてしまったのは「自分のせいなのではないか」と、ナイフを突き刺されるような痛みも感じています。
実際に再会することはなくても、この先、記憶の中では何度も彼女に会うことになるでしょう。
トラウマとなりそうな別れの場面です。