『十戒(1984)』とは?
タイトルの意味は?
まずは、タイトルの意味を見てみましょう。
「十戒」は「じっかい」と読みます。
「十戒」は、西洋でも東洋でも使われる、宗教上の「戒律」のことです。
戒律は、教えの中でも守らなければならない最も厳しい掟です。
「モーゼの十戒」が最も有名でしょう。
この歌のタイトルに括弧で年が入れられているのは、リリースされた1984年です。
1984年に作られた守らなければいけない掟ということです。
作詞作曲は?
作詞は『少女A』と同じ売野雅勇。
作曲の高中正義は、ギタリストとして活動する一方、作曲、演奏活動を続けています。
『十戒(1984)』歌詞を解説します
まずは、中森明菜の歌唱をご覧ください。
作詞家売野雅勇に「女優」と言われた驚きの表現力と歌唱力。
振幅が大きいことで知られる明菜ビブラートが強調され始めるのもこの頃です。
衣装は黒〜グレイのものが多く、こちらの動画ではドレスですがパンツのこともあります。
かっこいい振り付けにもご注目ください!
この振り付けは、70年代から活躍していたカリスマ振り付け師三浦亨のもの。
が、中森明菜がアレンジした箇所が多く、三浦が提供したものとは違っているということです。
ダメな男たちへ
愚図な男とは?
愚図ね カッコつけてるだけで
何もひとりきりじゃできない
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
高価な服に身を包み、かっこいい車を乗り回す。
DCブランドが流行り、腕時計は高級ブランドが当たり前。
見かけにはお金がかかっているけれど、中身は空っぽな男たち。
お金さえあればできること、お金のおかげでできていることを自分の実力と勘違いしています。
給料が良い自分は上等な人間だという錯覚。
たんまりお金があったのは、自分の実力じゃないと気がつかないかっこいいだけの男。
1984年当時、社会全体にお金がありました。
私が変える
過保護すぎたようね
優しさは気弱さの言い訳なのよ
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
時代の波に乗って絶好調の男性たち。
実力以上のリターンに恵まれていることも気がつかない。
だからこそ、他人に対して、特に女性に対して鷹揚でいられるのです。
そんな豊かな時代でも、女性は男性ほどのリターンに恵まれていません。
自力では買えない、自立できない女性にとって、恋人にどれだけお金を使ってもらえるかが女性の価値。
それらすべてを完全否定し「今のままでは満足できない」と叫ぶのがこのフレーズ。
発破かけたげる さあカタつけてよ
やわな生き方を 変えられない限り
限界なんだわ 坊やイライラするわ
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義