会社や肩書きやお金に寄りかかった生き方をしている恋人。
しかし、彼には自分のどこがダメなのかわかりません。
「こういうもの」「これが当たり前」だからです。
その「当たり前」を疑わない批判精神ゼロのところが子供っぽい。
いらついて当たり前。ほとんどの女性はそのイライラを口にしません。
にっこり笑ってなにか奢ってもらう、買ってもらうことでスルー。
が、それをストレートに男性にぶつける。
中森明菜にしかできません。
中森明菜だからこそ、かっこいい。
愛とはなに?
簡単に口にできないもの
すぐに愛を口にするけど
それじゃ何も解決しない
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
「いやいやそうじゃないって」という愛の言葉ほどむかっとくるものはありません。
自分が軽く扱われているだけでなく、相手への気持ちも軽く思われているからです。
ここまでさんざん彼氏をなじってきた「私」は彼が好きなのです。
だからこそ、彼のお気楽な愛の言葉が許せません。
ちょっと甘い顔するたびに
ツケ上がるの悪いクセだわ
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
彼のことが好きだから、彼に優しくします。
彼に「好き」と言うこともあれば、彼のすることを受け止めることもあります。
それは彼を好きだからしていること。
だけど、それを当たり前だと受け止められると話は別です。
1つのことを受け入れたから、すべてを受け入れている訳ではありません。
なのになぜ、すべて手に入ったと勘違いするの?
どうしたら満足なの?
優しいだけじゃもう 物足りないのよ
今の男の子 みんな涙見せたがり
甘えてるわ やめて冗談じゃない
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
当時から女性の「好みのタイプ」の中に「優しい男性」は入っていました。
この「優しい」は曲者!
どう優しければ満足なのか、なにが優しいのかは実は人それぞれ。
言葉は同じでも中身が違います。
優しいということは、弱いということと同じととらえている恋人。
あなたも他の人と同じ。偽物の優しさをウリにするなんて。
本当の優しさを持っている人は強い人のはず。
本当に欲しいひと
白黒つけたいわたし
ちゃんとはっきりしてよ この辺で
ギリギリよ もどかしいわね
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
優しさと弱さを混同している人は決断力がなさそう。
彼女にこんな風に怒られるようでは。
ただ、この歌詞では何について白黒つけろと言っているのかわかりません。
わからないところが面白いともいえます。どんな状況にも当てはまるからです。
きっと、この歌を聞いている同じような状況の女性は「そうそう!」と心の中で叫ぶことでしょう。
当の男性は「優しい男がいいって言ったじゃないか」と困惑していたかもしれません。
中森明菜の迫力ある低音が生きるパートです。
救いのない人ね 哀しくなるのよ
私好きならば方法あるはずよ
でなきゃさよならね いいわ 冗談じゃない
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義
「私のこと好きなら自分で考えなさいよ!」
はっきりしろと怒られた後に、こう言われたら気の弱い男性ならしくしく泣いてしまいそう。
ここまで言わなくてもいいのにというダメ出しの嵐ですが、意外に相性は良いのではないでしょうか。
別れるなんてとんでもありません。
ぜひ、仲良くしてもらいたいものです。
決断を迫る恋人
発破かけたげる さあカタつけてよ
やわな生き方を 変えられたらきっと
好きになれたはず 坊やイライラするわ
出典: 十戒(1984)/作詞:売野雅勇 作曲:高中正義