甘い声と突き刺さる言葉
「破滅」と歌う思考とは?
今にも消え入りそうな繊細で儚いルックス。
そして、甘い声で凛とした突き刺さる言葉を次々と放つ…。
今回ご紹介するのは、大注目のアーティスト4s4ki(アサキ)の楽曲「超破滅的思考」です。
2019年6月9日にリリースされました。
いったいどんな思考を「破滅」と歌っているのでしょうか?
鋭い言葉はどんな心情を表現しているのでしょうか?
MVをチェック
心を抉るような映像
「超破滅的思考」のMVはとても芸術的です。
走馬灯のように映し出される写真と、真っ白な空間で全身を使って歌い上げる4s4ki。
真っすぐな眼差しでこちらを見つめていますね。
見ている側の心を抉るような映像になっています。
画像から伝わってくるのは「憂い」や「終焉」といった言葉です。
彼女はなぜこれほどまでにボロボロなのか…。
歌詞の内容から追っていきましょう。
傷つきながらも生きる
まずは印象的なサビから始まります。
雨に打たれながら吐露する生き様は、虚しさと悲痛に満ちていることでしょう。
積み重なる苦痛
雨降っても地は固まらないや
不貞寝したあたしカスオブザイヤー
全然まともじゃないからさ
まともなふりが難関
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
「雨降って地固まる」ということわざ。
大変な出来事の後には、良い結果や安定した状態が続くという考え方です。
主人公は辛い状況に直面して、このことわざを信じていたのでしょう。
でも、全然ことわざの通りにはいかない。
辛い出来事の後には苦痛が積み重なるだけ。
そんなどうしようもない状況が歌われています。
問題と対峙する気力もなく不貞寝。
その生き様を「カス」と表現。
そして、自分の内面を「異質」だと捉えているようです。
ここからは疎外感や自己嫌悪すら読み取れるのではないでしょうか。
癒えることのない傷
雨降っても血は流せなかった
冷え切った体を撃ち抜いた
全然平気じゃないけどさ
平気なふりは簡単
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
「地」と「血」で韻を踏んでいます。
雨に打たれ続けるも、こびりついた血が綺麗に洗い流されることはない…。
傷だらけで生きていることが分かります。
そして、止まない雨に体温も奪われてるようです。
ここまでの歌詞で身心ともに限界まで衰弱していることが伝わりますね。
でも主人公は「平気なふり」をしていると言っています。
苦痛を伴いながらも周囲にそれを伝えられない。
一人で抱え込むからいつまで経っても傷が癒えることはない。
そんな背景が読み取れます。
苦痛に対する反応
痛みと向き合ううちに、生々しい描写が目立つようになってきます。
その思考回路を読み解いていきましょう。