変わらない
変われないよ 僕ら
今もしっかり握っている
ちぎれない
ちぎらないよ 僕ら
今もしっかり繋いでる手
出典: しわあわせ/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
止めることができない変化の中で、登場人物達は変わらず守りたいものがあるようです。
本作で何度も登場するこの歌詞は人間同士の繋がりを表しています。
歌詞の内容から考えて、登場人物達は今は一緒にいると考えられますね。
繋いでいる手は物理的な手であると同時に、人間の繋がりの比喩です。
どんな人間でも時間の中で、出会いと別れを繰り返して生きてきました。
どんな人も誰かと永遠に一緒にいられるわけではありません。
それでも心の中では繋がりを持ち続けることはできます。
例え離れてしまったり時間が過ぎたとしても、いつでも心は誰かと繋がっているというのがこの歌詞の意味です。
いつか訪れる別れ
人間同士の繋がりを歌っている本作ですが、同時にいつか来る別れについても歌っています。
それはどういった内容なのでしょうか。
永遠はないということ
重なるひびを僕達は
流るるひびも僕達は
思い出すこともなくなって
しまうんだろう
しまうんだろうって
重なるひびを僕達は
流るるひびも僕達は
思い出すこともなくなって
そんな
しわあわせで
出典: しわあわせ/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
今はどれだけ変わらないと思っていても、この世界に永遠のものはありません。
そして人間は、人生で起こった全てのことを思い出として残しておくことはできない生き物です。
残念ながら、時間とともに記憶が風化していくことは止めることはできません。
この歌詞ではどれだけたくさんの思い出があっても、人間はいつかそれを忘れていくことが描かれていました。
一見するととても切ない歌詞ですが、それでも最後には現実を受け止めて前へ進んでいく意思が感じられます。
何度も思い出を作りそれを大切にして、やがて忘れる時が来ます。
そしてまた新しい思い出を作り人生を生きていく気持ちです。
今の明るい気持ちだけではなく、未来に訪れる暗い不安も歌っています。
だからこそ本作は聴く者にリアリティを持って迫ってくるのでした。
「ひび」とは何なのか
この歌詞の「ひび」は、割れ目を意味する「ひび」と月日を意味する「日々」をかけてあると考えられます。
これまでの人生で、楽しいことより辛いことのほうが記憶に残っている人も多いでしょう。
人生で起こる様々な辛いことが「ひび」で、逆に楽しいことが「日々」です。
人間は楽しいことも忘れてしまいますが、絶対に忘れまいと思った辛いことも忘れてしまいます。
それはある意味では救いでもありますが、同時に何でも忘れることはとても切ないことでもありますね。
それでも人はそうしたことを繰り返して、また前に向かって進んでいきます。
進んだ先でひびが入るような辛い目に合うこともあるかもしれませんが、それもやがて忘れる時もきます。
この歌詞は辛いことをひびと表現することで、永遠に続く辛さはないことを聴くもの者の心に訴えていました。
ひびが与えるもの
「しわあわせ」の中でひびが与えるものとは「生きてることを受け入れる気持ち」です。
何度も繰り返される出会いと別れや、辛いことや楽しいことなどの経験も人間は時間を経れば忘れます。
当然そこには「忘れたくない」という気持ちもあるでしょう。
しかし、これは人間である以上はどうしようもないことなのです。
それでも何度も繰り返すうちに、人間は「生きるとはこういうことなのだ」と受け入れるようになりますね。
ある程度人生経験を重ねる中で、このことを感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
ひびは確かに辛いものですが、それに耐えることで生きる力や気力を与えてくれるものでもあります。
そして辛いことがあるから楽しいこともあるのだと私達に教えてくれるのです。
しわあわせの結末に得られるもの
しわあわせを続けた先に得られるものは何なのでしょうか。