もしも悪女になるなら、夜が明けて満月が消えてからにしたいのです。
そうすれば素直にならずに済みます。 素直になれないけれど、涙はやはり溢れてくるのです。
素直になってしまっては悪女になりきれません。
悪女になれなければ、「あなた」にすがりついてしまいそうなのです。
「あなた」に会う前に1度、電車でこっそり涙を枯らしておこう。
枯らしておかないと、うっかり泣いてしまいそうなのでしょう。
「あなた」の前で涙を流してしまうと、きっと彼が心配してしまいます。
そんな主人公の切ない恋心が読み取れます。
1番電車
男物のコロン
女の付けぬ コロンを買って
深夜の茶店の 鏡でうなじに付けたなら
夜明けを待って 1番電車
凍えて帰れば わざと捨て台詞
出典: 悪女/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
女性がつけるはずもない、男性物の香水を買って付けてみるのです。
行くあてがなく、ふらっと入って時間を潰しているだけの喫茶店で。
まるで、他の男と過ごしてきたかのように見せかけるための小芝居です。
男物の香水がほんのり香ると、他の男と寝てきたかのように少しモヤっとするでしょう。
こうすることで、いつもとは違う香りに気付いた「あなた」が何か言ってくれるかもしれません。
もしかしたら、嫉妬して私に戻ってくるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に男物の香水を振りまいたのです。
そして、用もないのに一夜を外で過ごし、わざと凍えてみます。
それから「あなた」の前に現れることで、「あなた」の興味を引きたいのでしょう。
しかし、戻ってきてほしいと思う反面、嫌われなければという思いもあるのです。
複雑な気持ちを胸に抱きながら、香水を吹きかけたことでしょう。
あなたが…
涙も捨てて 情けも捨てて
あなたが早く 私に愛想をつかすまで
あなたの隠す あの娘の元へ
あなたを早く 渡してしまうまで
出典: 悪女/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
「あなた」に対して、涙も情も捨ててしまおう。
そう思わないと、悪女になりきれなかったのでしょう。
悪女になりきれないと、新しい彼女を作っている「あなた」に優しくしてしまいそう。
そんな主人公の、本当は悪女になりたくない気持ちが読み取れます。
「あなた」が主人公を嫌いになるまで、悪女になり続けるのです。
主人公が嫌われるしか、「あなた」と離れる方法がないのでしょう。
主人公は「あなた」に新しい彼女ができても嫌いになれなかったのです。
だから、自分を嫌いにならせて、向こうから離れてもらおうと考え付いたのでしょう。
そうして「あなた」を早く新しいあの娘に渡してしまう方がいい。
虚しくて悲しくて切なくて大好きで泣いてしまう前に手放してしまおう。
きっと、こんな切なすぎる気持ちでいっぱいなのです。
悪女になった主人公
悪女になりきれなかった主人公。
最初から最後まで悲しく切ない曲でした。
皆さんは、好きだけど離れなければならない経験はありますか?
このような経験をしたことがある方ならお分かり頂けると思います。
この状況は、かなり切なく、精神的にも辛くなってしまいます。
だからこそ彼女は、悪女になることを選択したのです。
悪女になれば、自分が傷つかなくてもいい。
自分を守るためにも、悪女になったのです。
なりきれてはいないけれど、悪女を演じることで自分を守っていました。
切ない気持ちを隠しきれない女性は、こうして自分を守ったのです。
まとめ
「悪女」
以上、「悪女」の歌詞を解説させていただきました。
いかがでしたか?
悪女になろうと必死な女性を思い浮かべるだけで、切ない気持ちになる曲でした。
この曲は、つい涙がこぼれてしまうような曲となりました。
好きで好きでたまらない彼が、自分以外の人を見てしまう。
これほど寂しくて悲しい出来事はありません。
これを乗り越えた女性はきっと強い女性になることでしょう。
大切な彼に新しい彼女ができてしまって悲しい思いをした人は、ぜひこの曲を聴いてみてください。
きっと、涙が流れて止まらなくなるでしょう。 たくさん泣いてスッキリして前に進みましょう。
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