荒井由実時代の名作
結婚前は「荒井由実」として活動していた
1954年に東京八王子で生まれた荒井由実。
小さいころからピアノや三味線、ベースなど楽器に囲まれて育ちました。
17歳で作曲家として、18歳にシンガーとしてデビューを果たすと、1stアルバム「ひこうき雲」が、あるラジオパーソナリティの目に留まり、それを機に知名度を上げていきます。
1975年に松任谷正隆と結婚してからは「松任谷由実」として音楽活動を続け、アルバム売上通算23作首位獲得という、女性最多アルバム首位を記録しています。
「やさしさに包まれたなら」も荒井由実時代の名曲
ユーミンと言えば「ジブリ作品」と合わせて覚えている人も少なくないのでは。
「魔女の宅急便」に使用されていた「やさしさに包まれたなら」や「ルージュの伝言」は荒井由実時代の作品です。
70年代に発表された曲ながら、様々なアーティストがカバーしたり、小さな子供も知っている曲だったりと、世代や時代を超えて愛される曲です。
また、「風立ちぬ」の主題歌「ひこうき雲」も荒井由実時代の作品。
この曲は宮崎駿が「風立ちぬ」の制作中に偶然に耳にし、主題歌に決めたそうです。
「雨の街を」は1973年リリース
「雨の街を」は1973年に発売された荒井由実の1stアルバム「ひこうき雲」に収録されています。
タイトル曲の「ひこうき雲」や「やさしさに包まれたなら」などの有名曲と共に、「空」や「ひこうき」をイメージする楽曲が収録されています。
「シンガーソングライターと言えばフォークソング」だった時代。
スタイリッシュでセンシティブな音楽性は目新しく、日本の音楽シーンに新しい流れをもたらしたアルバムと言われています。
しっとりと静かに歌い上げる1曲
この曲の特徴としては、大きな盛り上がりやサビらしいサビがないことがあげられるかと思います。
静かに降る雨の中を一人ぼっちで眺めている、そんな情景が浮かんできます。
雨の冷たさや湿度、窓に落ちる雨粒すら感じるようなサウンドと歌声は見事としか言いようがありません。
まずは楽曲を聴いてみてください。
細野晴臣率いる「ティン・パン・アレー」の伴奏にもご注目ください。
歌詞に歌われる内容とは
夜明けの雨の街と女性の歌です。
誰かがやさしく肩を抱いてくれたら、どこまでも歩いて行けそうなのに、と繰り返します。
楽曲全体に静かなもの悲しさが漂うのは、雨粒のように静かに落ちるピアノの音だけのせいではないはず。
どこまでも歩いてゆけそう、と繰り返し歌うのにはどんな理由があるのでしょうか。
夜明けの雨はミルク色
「夜明けの雨はミルク色」。
一行目から曲の世界へと引き込まれてしまいます。
雨に濡れる空、夜明けの静かな街。
ささやきながら降りてくる妖精とは雨粒のことでしょうか。
小さな雨粒が地面や屋根に当たった小さい音をまるで妖精がささやいているように描写しています。