和尚さんとタヌキの関係
宴や宴や国中が
和尚さんもタヌキも歌唄う
ぼくらのあたしの生まれた音ノ国
出典: 音ノ国/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
宴(うたげ)とは宴会、飲み会、パーティなどのこと。お祭りやフェスも含まれそうです。
全国的に……という話なので個人宅でも野外でも、つまりどこでも歌は歌われているということ。
私たちが生まれた国という日本語の表現になっているので、「音ノ国」は日本と解釈できます。
そう言われてみると、日本ではことあるごとに歌を歌う習慣があることに気づくでしょう。
そんな日本を再発見!という話ではないでしょうか。
そもそもきゃりーちゃんは2011年に「PONPONPON」のMVで世界中から注目を集めました。
原宿での撮影という読者モデルから活動を開始したという経緯もあります。
つまり、きゃりーちゃんといえば世界、日本なら若者の聖地・原宿のイメージがあるわけです。
そんなきゃりーちゃんが日本の伝統や歴史に目を向けるという話でしょう。
歌詞に出てくる「和尚さん」は住職の資格をもつ僧侶(お坊さん)のこと。
「証城寺の狸囃子」(しょうじょうじのたぬきばやし)という童謡にお寺とタヌキが出てきます。
1925年に発表された野口雨情さん作詞の童謡です。
この童謡を連想させるような歌詞になっていることで、日本の再発見につながります。
音ノ国は桃源郷?
真っ白にされる歌とは?
奏で桜みたいに
キレイに咲期待の二
響く音色と共に これは桃源郷
切ない想いが刺さり
いつも惹き止めた国
無限に続く歌に
真っ白にされたらしい
出典: 音ノ国/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
「咲きたいのに」の表記が独特です。きゃりーちゃんらしい世界観を表現したものでしょう。
冒頭の歌詞「いい桃」が「桃源郷」へとつながります。桃源郷とはユートピア、理想郷のこと。
中国の陶淵明(とうえんめい)「桃花源記」が語源になっています。
桜のように咲きたいのに、ここは桃の花が咲くユートピア……という意味になるでしょう。
どちらもピンクですが、別の花なので切ないのかもしれません。
あるいは切なく刺さる歌が多い、魅力的な日本という国とも解釈できるのではないでしょうか。
「無限に~」の部分は、いつの時代も変わらず身近な存在として親しまれている歌、という意味。
さらにループするサウンドが特徴的な歌……という二重の意味があるかもしれません。
中田ヤスタカさん作のきゃりーちゃんの歌は、無限ループするような中毒性のあるサウンドです。
その結果、真っ白な気分になるような衝撃がある……ということでしょう。
恋の舞に酔いしれよう
ヲタ芸ダンスのこと?
夕暮れのピンクがいい桃
キミから伝わる温度
はにかみしてた恋の舞
じーっとしておけないよ
出典: 音ノ国/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
歌が常に身近な存在の日本は「音ノ国」なので桃源郷……まとめるとそういう話になるでしょう。
きゃりーちゃんのかわいらしさをピンクという色に象徴させている意味合いもありそうです。
お日様も夕暮れも、どちらかというとオレンジのイメージが強いかもしれませんが……。
既出の「鯉の舞」は「恋の舞」につながります。逆に「恋の舞」→「鯉の舞」の順番っぽい感じ。
CAPSULEの「恋ノ花」を踏まえると、「恋の舞」のほうが先に浮かんだ歌詞かもしれません。
振付のあるラブソングは照れる側面もあるけれど、やっぱり踊っちゃう……くらいでしょうか。
MVのきゃりーちゃんから「恋の舞」=「ヲタ芸ダンス」とも解釈できます。
恥ずかしがらずに一緒に踊っちゃおう!という呼びかけでしょう。
日本の歌を歌おう!
蕎麦屋とキツネの関係
宴や宴や国中が
蕎麦屋もキツネも歌唄う
ぼくらのあたしの生まれた音ノ国
出典: 音ノ国/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
タヌキが出てきたのでキツネも登場、和食のキツネ蕎麦につながった……という流れでしょう。
このように日本を再発見することで、さらに世界が広がるかもしれません。
きゃりーちゃんと一緒に、日本の歌を歌おう!というメッセージのつまった「音ノ国」でした。