サビの歌詞ではグループサウンズの曲名が次々と登場します。
「夕陽が泣いている」はザ・スパイダースの1966年のヒット曲です。
ザ・スパイダースは堺正章、井上順、かまやつひろしなどがいた人気グループ。
そのザ・スパイダースと人気を二分していたのがザ・タイガース。
「君だけに愛を」はザ・タイガースのヒット曲です。
ザ・タイガースは沢田研二ことジュリーがいたグループですね。
その前の(パヤパヤ)というコーラスも昭和歌謡感あるフレーズ。
ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」を思わせますね。
「花の首飾り」もザ・タイガースによる1968年のヒット曲です。
「好きさ好きさ好きさ」はザ・カーナビーツが1967年にヒットさせた曲。
元々はイギリスのバンド、ゾンビーズの曲のカバーでした。
「好きさ好きさ好きさ」はMi-Ke自身もアルバムでカバーしています。
「神様お願い!」は萩原健一率いるザ・テンプターズが1968年にヒットさせた曲です。
このように、グループサウンズの曲名が次々と登場するのがこの曲の面白さ。
グループサウンズを知っている世代には懐かしく、若い世代には新鮮に感じられたのでしょう。
平成になって昭和を振り返る、いわゆるレトロブームのようなものもありました。
そういう時代の中でこの曲が受け入れられてヒットしたのでしょう。
ちなみに「夕陽が泣いている」という歌詞がありましたが、九十九里浜は千葉県の東側にある名所です。
九十九里浜からは朝陽は見えますが、夕陽が見えることはないのです。
曲の歌詞の中でのファンタジーということにしておきましょう。
マイナーな曲も登場
2番の歌詞にも曲名がたくさん
あの頃ふたりとも
小麦色してた
バラ色の雲ゆきが
あやしく 色あせたの
出典: 想い出の九十九里浜/作詞:長戸大幸 作曲:織田哲郎
「想い出の九十九里浜」はAメロ部分ではラブソングの物語が展開します。
それに対してサビの部分では曲名が矢継ぎ早に登場する面白さが主役になります。
2番ではAメロにも曲名が登場します。
加瀬邦彦とザ・ワイルドワンズのヒット曲に「あの頃」という曲があります。
普通の単語なので見過ごしそうになりますが注意して聞いてみましょう。
「バラ色の雲」はヴィレッジ・シンガーズによる1967年のヒット曲です。
「バラ色の雲」はあまり知られていないかもしれませんが、その後日本歌謡界を代表する作曲家となる筒美京平の作品です。
ヴィレッジ・シンガーズは「亜麻色の髪の乙女」でも知られています。
後に島谷ひとみがカバーして大ヒットした曲です。
曲名ばかりが先行して主人公の恋愛を忘れそうですね。
ここでは別れた彼との思い出に浸っています。
九十九里浜に海水浴に行っていたのでしょうか。
二人とも日焼けして小麦色の肌だったのです。
しかし、恋の終わりを予感させる出来事が二人に起こるのでした。
恋の終わりがやってくる
突然あらわれた
長い髪の少女
貴方の視線が どこを
見てるかを見てた私
出典: 想い出の九十九里浜/作詞:長戸大幸 作曲:織田哲郎
二人の前に長い髪の少女が現れます。
彼の視線はその少女に釘付け。
彼女はその視線に気づいています。
自分ではなく、他の女性を見ている彼氏。
二人の関係にヒビが入るきっかけになったのでしょう。
想い出の浜辺は別れにもつながる場所になってしまいました。
「長い髪の少女」はザ・ゴールデン・カップスが1968年にヒットさせた曲です。
ザ・ゴールデン・カップスにはゴダイゴで活躍するミッキー吉野が在籍していました。
70年代にソロとして成功する柳ジョージもメンバーだったことで知られています。
ほぼ曲名だけで歌詞が成立!
サビのたたみかけがすごい
ああ 九十九里浜
今は遠い渚
(パヤパヤ)
真冬の帰り道
落葉の物語
いつまでも いつまでも
あの時君は若かった
想い出の九十九里浜
出典: 想い出の九十九里浜/作詞:長戸大幸 作曲:織田哲郎
サビでの曲名たたみかけは1番以上にすごいことになっています。
「遠い渚」はシャープ・ホークスの1966年のヒット曲です。
シャープ・ホークスは俳優の安岡力也がメンバーだったグループです。
「真冬の帰り道」はザ・ランチャーズが1967年にリリースした曲です。
ザ・ランチャーズの結成は1962年ですが、元々は加山雄三が作ったグループでした。
「落葉の物語」はザ・タイガースの曲。「君だけに愛を」のB面曲です。
「いつまでもいつまでも」は1965年のザ・サベージのデビュー曲。
「ルビーの指輪」で知られる寺尾聡が在籍していたグループです。
「あの時君は若かった」はザ・スパイダースの1968年のヒット曲。
1番も2番もサビの部分は曲名をつなげただけで歌詞になっています。
パロディーネタ的な構成で、作詞のセンスが光っていますね。