「HERO」は全人類に向けたメッセージソング
今回は、楽曲を制作する前からタイトルが決まっていたという「HERO」をご紹介いたします。
作詞・作曲は甲斐よしひろ。
今もなお、楽曲にまつわる伝説は数多く語り継がれているのです。
甲斐よしひろは当時、「ヒーローはどこにでも存在する」と語っています。
決して特別なことは唄っていないと、伝えたいのでしょう。
人間の一生とは、儚く短いもの。
私たち皆に当てはまる楽曲なのです。
絶大にインパクトを残したCMソング
「HERO」は1978年12月にリリースされた、甲斐バンド11枚目のシングルです。
時計のCMタイアップ曲として発表したことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
しかも、NHK以外のTV各局で1979年1月1日を迎えたと同時に流れたのです!
当時は、TVの歌番組を極端に拒み続けていた甲斐バンド。
「出演するかわりに演奏する場所まで撮りに来い」、とまで言い放ったそうです。
これ以上ない、インパクト抜群の楽曲発表となりました。
ジェームス・ディーンが鍵?!「HERO」を余すところなく徹底解釈します!
ヒーローとは一体?!
HERO ヒーローになる時 Ah Haそれは今
HERO 引き裂かれた夜に お前を離しはしない
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
日々過ごすなか、耳なじみがないイントロが印象的です。
あまりにもインパクトがある言葉で幕は開けます。
誰かを救い出すには、僅かな時間しかないといっているのでしょうか。
まだ淡く若い男女の、切ないラブストーリーを想像させるようです。
泣く泣く2人は、別れることを選んだのでしょうか?
もしくは第三者によって邪魔をされ、その結果別れざるを得なかったのかもしれません。
2人がもう一度やり直そうと、今夜に賭けているワンシーン切り取ったのでしょう。
ですが、1度手離してしまった時を取り戻すには並み大抵ではすみません。
そのためには男性が、女性を救い出す「ヒーロー」になるしかないのです。
誰もが主人公
必ず自分の手に、「彼女を取り戻す」。
そう固く誓いをたて、覚悟を決めた主人公の熱い想いが垣間見えます。
もう2度と離さない、離れるあろうはずがない。
熱い気持ちがヒシヒシと伝わってくる2行の歌詞ではないでしょうか。
皆さんも経験がおありかもしれません。
あの時なぜ、目先のことばかりが気になり近い将来が見据えられなかったのか。
もう少し、最後まであきらめずにさえいれば違う結末を迎えられたのでしょう。
決して後ろは振り向かず、再び未来へと2人は歩きだそうとしているのです。
時が止まれば...
限りある時間
生きるってことは 一夜かぎりのワン・ナイト・ショー
矢のように走る 時の狭間で踊ることさ
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
人間の一生など、所詮一瞬だといっているのでしょうか。
過ぎ去る時間は、刹那的だといっているのです。
その瞬間を生きるというのは、いつも誰かが主役になれる舞台だといっているのでしょう。
だからこそ、誓い合ったこの時を今夜周りにいる誰よりも深く陶酔しようとしているのです。
今夜だけは2人が主役。
もう決して邪魔は入りません。
ともすれば、周りが見えなくなっているともいえるでしょう。
なぜなら、2人でしか存在し得ない時空の世界にはまり込んでしまっているからです。
愛を確かめ合うように、お互いの目をジッと見つめる姿が思い浮かびます。
そう、2人の周りだけ時が止まった絵画に見えるのです。