a flood of circle『夏の砂漠』をピックアップ

a flood of circle「夏の砂漠」の歌詞を独自解説!君も手を伸ばせ!砂漠の冒険者みたいにの画像

研ぎ澄まされた刃物のような歌声とブルージーなロックでリスナーの心を鷲掴みにするa flood of circle

今回は2018年11月7日にリリースされたシングルからの一曲をご紹介します。

熱くて爽やかな『夏の砂漠』

今回ピックアップしたのはニューシングル「13分間の悪夢」から、『夏の砂漠』です。

すでにライブで演奏されており、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也がプロデュースしたことも話題となっています。

タイトル通りのジリジリとした熱さに並行するスピード感、爽快感。

重みのある芯を持ちつつポップさも忘れない、a flood of circleらしい一曲です。

『夏の砂漠』で冒険者たちは何を知り、何を得るのでしょうか。

水を求めて進んだ先に何がある?

『夏の砂漠』歌詞を紐解きます!

あえて過酷な道を選ぶ理由とは

ラクして稼ぐ、手を抜いて勝つ。

誰もが一度は考えることであり、必ずしも悪いことはでありません。

しかしあえて「険しい道を選ぶ」「過酷な環境に飛び込む」人はあまりいないのではないでしょうか。

直感は信じるに値する

熱に浮かされていこう 騙し絵みたいなロスト・シティから
第3の目で見る 君と未開の砂漠へ 急かされてるように

出典: 夏の砂漠/作曲:佐々木亮介・田淵智也 作詞:佐々木亮介

主人公と「君」の二人は、今までいた場所を出てどこかへ向かっています。

冷静になってしまえば足を踏み出すことができないような、成功の保証がない地にでも向かっているのでしょうか。

それまで二人がいた場所は「ロスト・シティ」。この言葉は、古代に栄えた黄金都市を指して使われます。

つまり、その場所にいてももう何も得るものはないということでしょう。

一見きらびやかに見えても、実はまやかし。近づいてみれば朽ち果てた光景が広がっている場所なのかもしれません。

今二人がいる場所は砂漠で、蜃気楼によってロスト・シティが幻のように見えている可能性もありますね。

では、二人はどこに向かうのでしょうか。

近くにある場所でも、遠く彼方に見える場所でもありません。

誰かが道を作ってくれた安全な場所なら安心感がありますが、彼らが選んだのは誰も踏み込んだことのない場所です。

しかも水や食料に乏しい砂漠。

誰もなし得なかったことをやってのけようと考えているのでしょうか。

そこを選んだのは彼らの直感、第六感です。その感性は信じるに足りるものだと分かっているのでしょう。

何が待っているか分からないけれど、選択は間違っていないはず。きっと面白いものに出会えるはず

そんな期待から、急ぐ旅でもないのに歩みが早くなっていきます。

助けはついに来なくて 嫌になるぜ 死んでるみたいだな
キャラヴァンは西へ 地図なんてない砂漠で

出典: 夏の砂漠/作曲:佐々木亮介・田淵智也 作詞:佐々木亮介

しかしそこは未開の地。食べ物がない、飲み物がない状況になっても頼れるものがありません。

二人は頭のどこかで「誰か来てくれるのではないか」と期待していたのでしょうね。

ピンチになっても救援が来ない状況を嘆いています。

「あの二人はもう死んでしまったのだ」と捜索活動が打ち切られてしまったかのようだと歌います。

キャラバンとは隊列をなして移動する商人のことです。

砂漠地帯のように人の目が届かない地域では盗賊が出現することがあり、昔からこうした組織が作られていました。

砂漠を行くキャラバンといえど、灼熱地獄での移動は避けたいもの。

特に夏の西アジアの砂漠は過酷な暑さとなるため、その期間はキャラバンが組まれなかったとされています。

この曲の二人は、西に向かっていますね。

道標が何もないとはいえ、これもまた本能に従って自ら西を選んでいるように読み取れます。

デッドエンドがすぐそこ!

Give Me Water! 癒えない渇きが
Give Me Water! 照りつける熱が
Give Me Water! 終わり決めつけても

出典: 夏の砂漠/作曲:佐々木亮介・田淵智也 作詞:佐々木亮介

灼熱の砂漠を歩いていても、オアシスには辿り着けません。

水分の補給ができないまま歩き続けていれば汗が出て、脱水に至ります。

「水をくれ!」体はそう叫んでいますし、このまま水にありつけなければあと何日生きられるでしょうか

デッドエンドの輪郭が見えてきたのかもしれません。

ピンチを越える大きな一歩