椎名林檎「労働者」はソウルフルな労働賛歌
「三文ゴシップ」収録曲
レキシとコラボ!
池田貴史(レキシ)が編曲およびキーボードとコーラスを担当。演奏は池田を含む100sのメンバーが担当。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/三文ゴシップ
元ファンクバンド「バタ犬」ことSUPER BUTTER DOG(スーパー・バター・ドッグ)のキーボーディスト。
さらに歴史縛りのソロプロジェクト「レキシ」などで活躍する池田貴史さんらが参加しています。
「きらきら武士 feat. Deyonná」(きらきらぶし フィーチャリング デヨンナ)は、レキシの楽曲。
2011年3月16日に発売されたレキシの2作目のアルバム『レキツ』収録の楽曲で、レキシネーム・Deyonnáこと椎名林檎がフィーチャリングで参加している。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/きらきら武士_feat.Deyonna
後にレキシのアルバム収録曲「きらきら武士 feat. Deyonná」でもコラボしている2人。
ブラックミュージックの歴史を踏まえると、「きらきら武士」はファンク。
一方「労働者」はソウルミュージック色が強いといえるでしょう。
椎名林檎さんが労働にまつわる悲哀を高らかに歌い上げる点はR&Bも感じられます。
さて、この曲にはどのような夢と葛藤が込められているのでしょうか。
1番の歌詞をチェック
楽で贅沢な暮らしに憧れる
ずらかりたいよ
おさらば
面倒はいやだ
あやかりたいよ
うるわし
文明はいいな
出典: 労働者/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
いきなり後ろ向きです。
大変なことでも起きたのでしょうか。
そのうち今度は「調子のいいことに便乗したい」という本音が表れます。
ここでは文化ではなく「文明」に憧れているところが肝でしょう。
精神的、芸術的な文化ではなく、物質的、経済的な文明というわけです。
福澤諭吉先生によって広まった「文明開化」という言葉、エジプト文明などの「世界四大文明」が想起されます。
これはレキシとのコラボによる、椎名林檎さんらしい歴史的な言葉遊び。
そういう側面もありつつ、労働者が抱えがちな一般的な心情を象徴しているとも考えられます。
毎日の仕事が大変で逃げ出したい。
できれば贅沢したいわけですね。
ただ、任務を放棄し、遊び惚ければ大惨事になることはわかっています。
だからこそ、なおさら強まる願望ということになるでしょう。
懸命に働いても追いつかず
一体いくら掛かるの
気持ち良い生活まで
とても間に合わない
身体と時間が‥無い
出典: 労働者/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
現状の暮らしには満足していません。
まるで明治時代の詩人、石川啄木さんの歌集「一握の砂」みたいです。
どれだけ働いても暮らし向きが良くならない。そのような心境でしょう。
高度に文明が発達した現代社会の恩恵にあずかって生きているはずなのに、格差社会の問題点は改善されません。
真面目に働けば働くほど自分自身の健康や日常生活が犠牲になり、トータルでは損をしているような気分。
共感する方が非常に多いでしょう。