収録アルバム「Mobb Life」の位置づけ
より多くのリスナーへ
まず「Mobb life」というアルバムでの役割から解説しましょう。
BAD HOP初の全国流通音源である「Mobb Life」。
これは過去にリリースしたコアなリスナー向けアルバムではありません。
「Mobb Life」は一般リスナー向けのアルバムです。
たくさんのリスナーにBAD HOPという存在、そして音楽を届けたい。
そんな思いでレコーディングしたとのことです。
これは全ナンバーのマスタリングを担当した”YZERR”も明言しています。
つまりマニアック向けのミックステープとはスタンスが違うのです。
ラップに手を出していなかった読者も手に取ってみてはいかがでしょうか?
MV「Ocean View」のガールズは誰?
パーティー御用達
PV「Ocean View」には、多国籍の女の子が出演しています。
彼女たちは”Tokyo PGR”所属のRabyaとMilaです。
Tokyo PGRは「本物のPARTYをプロデュースするチーム」。
日本ではまだあまり馴染みのない「VIP SERVICE」をテーマに活動しています。
アルバム「Mobb Life」
曲の構成は?
1曲目「Mobb Life」では彼らの初期衝動の叫びが見えます。
2曲目「つるまない」から5曲目「あ?」までの4曲。
彼らの等身大の価値観が垣間見えます。
そして「Super Car」から「3LDK」までの4曲。
走り続けた彼らが成功を掴みます。
変わりつつある周囲の環境が見事に浮き彫りになっています。
「Ocean View」からクライマックスへ
「Ocean View」では激しさとは無縁の落ち着いたバカンス。
夢を叶え仲間と共に過ごす柔らかで幸福に包まれた時間です。
その時間は彼らに変化をもたらすのです。
それが12曲目「Asian Girl」から15曲目「Magic Shoes」へとつながります。
ただ上を目指して、死に物狂いでもがき続けるだけだった人生。
そこから自分たちの努力で成功を手にし少し視野が広くなりました。
周囲の不条理に対する”気づき”が顕現(けんげん)してきたのではないでしょうか。
強烈に渦巻くだけだったエネルギーが、前向きに外へ吹き出しているイメージ。
特に「口だけ」にはその傾向が強く見えます。
ラストの「これ以外」では”やっぱり自分たちにはHIP-HOPしかない”。
そんな再確認が行われているのです。
自我に目覚めた瞬間です。
これを”無我の境地”と呼びます。
「Ocean View」とアルバム
テーマは成功
「Ocean View」は成功を掴んだ結果です。
また、その後に訪れた理想のライフスタイルが描かれています。
彼らが叫び続けている”はい上がって成功を掴んでやる”
という反骨心は穏やかな心情へと変化しています。
ふと訪れた穏やかで満ち足りた時間。
そこに余裕が生まれ、奇跡が生じるのです。
「Ocean View」で生じた変化は彼らのスタンスにも影響を与えています。
視野が広がった今だからこそ湧いてくるテーゼ。
”何を見るべきなのか”といったコトに気づいた瞬間です。
成功しなければ見えない景色があります。
それを眺めたときに初めて次の舞台が見えてくるのです。