命(タマ)張れねえなら消えな ビビってんだろ? てめえだ
尻尾巻いてお家に直帰するのが英断
弱み見せりゃブッこむ 長くブッとくシノぐ
メンツと家族はぜってえ守る
俺が左馬刻様だ ばぁろう
出典: シノギ(Dead Pools)/作詞:ALI-KICK 作曲:ALI-KICK
職種が職種だけに、血なまぐさい出来事が起こる可能性は否定できません。
だからといって及び腰ではシノギは成り立ちません。極端にいえば「やられる前にやる」世界なのです。
ですから弱みを見せれば先にやられてしまうのは目に見えています。
そんな人間は邪魔なだけ。本気でシノギができないなら初めから手を染めないほうが身のためだと歌っています。
非常にヤクザの彼らしい、ある意味で男気のある主張でもありますね。
「家」に「お」がついているのはどこかキュートですね。
弱みは見せるものではないですし、相手が弱みを見せたらそこが狙い目です。
真正面からぶつかるのもひとつの方法です。
しかし相手の弱みに付け込むことだってシノギには必要なのですね。
「汚いこと」なのかもしれませんが、そうやって必死にお金を稼ぐのには理由があります。
それは、守りたい存在があるから。自分自身の信念と家族です。
左馬刻は父も母も亡くしており、今は妹と生活をしている苦労人なのはよく知られています。
この事実は『G anthem of Y-CITY』の歌詞に描かれていましたね。
母が親父殺して 自殺かまして
大事な妹と暮らして
道外れた日常が通常
生き抜くためにはしない躊躇
出典: G anthem of Y-CITY/作詞:サイプレス上野 作曲:ALI-KICK
彼の中には父親、そして父親を殺して自殺した母親を守れなかった悔いがあるのかもしれません。
ですから残された妹は何があっても守るのだと決めているのでしょう。
何を犠牲にしてでも守らなければいけない存在がある。
そのような人間が、いざという時には非常に強いものなのかもしれません。
一見アウトローな見た目や生き方をしていそうな左馬刻。
しかしその中には一本筋の通った、彼なりの信念がきちんとあるのです。
それこそが、多くの人が彼に惹きつけられる魅力であるのでしょう。
「ばぁろう」と罵倒していますが、照れ隠しのようにも聞こえます。
あえてハマったほうが良い「ハマ」
熱くも冷たくもないフラットなリリックが魅力の理鶯のパートが「サビ」になっています。
他の2人に比べても、圧倒的に低いテノールボイスが魅力となっている彼。
森の中からヨコハマを見下ろしている彼の目に、ハマはどう映るのでしょうか。
ハマの風に身を任せるのも悪くない
この街で生き抜いて everyday ドデカいシノギをあげる
Cash Rules 全てを MY HOOD で転がす
ハマにハマっちまいな
出典: シノギ(Dead Pools)/作詞:ALI-KICK 作曲:ALI-KICK
ヨコハマの中でシノギを上げるためには左馬刻の存在が必要不可欠です。
食うか食われるかの衝突を制してのし上がり、お金を稼ぐ。
全ては左馬刻のプール、支配下で行われています。
彼の手腕によってその采配がうまく回っているからこそ、今のヨコハマがあるのです。
ルールを作るのも、取り分を考えるのも左馬刻の役割。その匙加減もきっと恐ろしく上手いのでしょう。
自分たちについてくれば生活は保証する。だからM.T.Cについて来い!
こんな意味を感じます。
ハマにハマれ…
なみなみに注がれた欲望のプール
MAD TRIGGER CREW が全て飲み干す
出典: シノギ(Dead Pools)/作詞:ALI-KICK 作曲:ALI-KICK
キラーフレーズ「ハマにハマれ」は一度聴くと頭の中を延々とリピートしますね!
HIP HOPというジャンルの音楽は、いかに上手に韻を踏むか。
あるいはいかに「上手いことを言うか」というのが大きなポイントともなっています。
そういった意味では、この「ヨコハマにハマれ」というのは素晴らしいキャッチーフレーズですね。
左馬刻の配下でシノギを上げる者が増えれば増えるほど、生活はうるおいます。
ここでM.T.Cが「飲み干す」という表現を歌詞で使っています。
しかしこれは下々の者が稼いだお金を全て搾取するという、悪い意味ではないようです。
シノギを上げる者たちを支配しつつも「守る」という意味なのだと推測できます。
もちろん彼らを守らなければ、自分達の生活が回らなくなりますから。
そういった意味でも、彼らは街の人間を守っているのでしょう。
しかしきっとそれ以上に彼らを守る理由としては、先ほど出てきた「仁義」に基づいているのです。
自分達の下にいる人間は。自分と肩を並べて戦う仲間は。
きっと彼にとってはある種家族のようなものなのです。
信頼と絆がある人間のことは、自分も信じるし困っていたり助けを求められたら守る。
そんなM.T.Cの、左馬刻の男気溢れる主張が垣間見えるのではないでしょうか。
森で生き抜くのとはワケが違う「ハマ」のサバイバル
ハマでサバイブ ここらじゃ誰がマジでヤバイかは一目瞭然
ハマでサバイブ ハマにハマれば出口はないのさ
しつこく追うぜ
出典: シノギ(Dead Pools)/作詞:ALI-KICK 作曲:ALI-KICK
サバイバルといえば……理鶯!メインフレーズに続き、もちろんこのパートも毒島・メイソン・理鶯が主軸です。
ヨコハマで危険人物の筆頭は左馬刻ですが、実はもうひとりいますね。次のセクションで登場する警官です。
軍出身で兵士としての返り咲きを狙っている理鶯だって十分危険です。
彼らM.T.Cの支配下で生き延びるためには、プールの中でエンドレススイミングをしなければなりません。
生活を保証してあげる代わりに、逃げ出すことは許しません。
堅い信頼、絆、もとい「仁義」で結ばれたヨコハマの人間。
それをもし、裏切るようなことがあれば…。
どうなるかぐらいは、皆さんもきっと予想がつくのではないでしょうか。
汚職警官のロジックに「ハマる」
ここからは左馬刻と並ぶヨコハマの危険人物の筆頭、入間銃兎のソロパートです。
職業・警察官と聞くと、ヤクザの左馬刻とは相対する存在のようにも思うのですが…。
彼も曲がりなりにも、このヨコハマの街で生きている人間。
簡単に一筋縄でいくような男ではありませんよ。
クレバーな声で綴られるリリックはとにかく汚れまくっています!